営業部の石井です。2016年の9月にノヴィータへ入社する前は屋形船の船頭をしており、IT・WEB業界自体が未経験でした。接客業の経験はあったものの営業職の経験はなく、入社した当時は、何から手を付けて良いのか、自分に何が足りず今何が必要なことすらわからないほどで、本当にゼロからスタートしました。
当時、ノヴィータには業種・職種未経験入社のメンバーはほとんどおらず、皆がそれぞれの職種を経験しているものの、教育体制が現在のように整っている状況ではありませんでした。
そのため、ある時は上司や先輩の協力のもと、ある時は自分自身で必要だと思ったことやできることを考えて行動してきました。その結果、だんだんと自分の行動が実を結ぶようになり、余裕を持って上司や部門の状況、さらにはクライアントまで見渡せるようになってきたのです。
今回はIT経験ゼロ、営業経験ゼロだったところから、どんなことをしてノヴィータのSES営業になったかをお伝えします。ひょっとすると当たり前のことから書いてあるかもしれませんが、どれもが重要なことです。
これから新しいことに挑戦してみようと考えている方、新しい環境で役立つヒントを探している方は、ぜひ参考にしてみてください!
専門知識学習よりも前に取り組んだこと
ITの業界の経験はなく、営業の知識も全くない。そんな状況で一から育て上げてくれたのが、営業部でリーダーを務める田中でした。
OJTとして田中とクライアント先へ同行し、営業で何をしているのか、近くで見て学ぼうとしましたが、これまで経験してきたことと営業との違いは大きく、先輩の動きを見ているだけでは足りないと感じたことが何度もあります。
そこで、田中をはじめ、社内のメンバーにも協力してもらい、ノヴィータの営業として必要なスキルを習得するための指導を受けたのです。
最初に勧められたのはタイピングの練習です。
営業の業務上、議事録の作成やメール作成といった文書作成業務は必ず発生します。スピードのあるタイピングやブラインドタッチは必須といえるスキルです。専門的な業界知識の前に、まずはスムーズなタイピングができるようにと教えてもらったのです。
入社当時、異業種からの転職だったこともあり、仕事やプライベートで十分なタイピングをしてきた経験はなく、営業として求められる速さには到底届いていませんでした。
タイピングのトレーニングは、入力できる文字数と時間で目標を設定し、タイピングソフトを使って定量的な記録を残しながら毎日取り組むというものです。目標を設定してそれを上回るまで練習していき、安定した結果が出せるようになるまで1ヶ月ほど継続しました。
その後は実践に移り、場数を積むことで、議事録を取りながらミーティングに参加できるようになるほどタイピングも上達。
社内でも「未経験者は特に、タイピング練習が重要である」と再認識され、現在ノヴィータで行っている新卒研修でもタイピング練習をカリキュラムに組み込んでいます。
タイピングスキルの習得を通じ、パソコンを使わない「屋形船の船頭」という仕事から、パソコン必須の「営業マン」に気持ちが切り替わっていきました。業界が長い方にとってはとても初歩的なことに見えるかもしれないですが、この経験にてようやく「業界の入り口に立てた」と感じています。
営業のスピード感を保つため上司に相談したこと
入社からしばらく経ち業務に慣れてきた頃、先輩や上司の動きを見ていて気がついたことがありました。
クライアントとのメールのやり取りで、先輩がこれからする返信の内容がわかるようになってきたのです。
クライアントとのやり取りは、先輩からの返信であってもメールのCCに入れてもらい内容を確認していました。スピード感が問われる営業の仕事では、クライアントからの連絡は我々の都合やスケジュールとは関係なしに届くことがあります。
要は、良い成果を残すことを考えるならば、窓口である先輩の都合と合わないタイミングのご連絡であっても、返信をしなければならない場合があるということです。
関係者の誰かはメールを読んでいたのに、窓口担当との都合だけが合わないことで、返信がクライアントの期待していた期限に間に合わず、成約などの結果に影響する事態も発生しかねません。
そこで、自分がわかる範囲の質問であれば対応を巻き取れないかと、上司・先輩に相談しました。具体的には、窓口である先輩でなくとも回答できる軽微な質問に対して、メールの宛先が自分でない場合も、先んじて返信することにしたのです。
それ以降、クライアントからの連絡は自分宛てでなくとも常に内容を確認し、先輩たちの動きを見ながら「自分で対応できるものか」「先輩にやっていただくものか」を判断するようになりました。
もちろん、私では回答できない内容もありますが、先輩や上司の業務の中で自分にもできることがあると発見できた経験が、一人前になっていくための大きな一歩だったと思います。
実際、そうした巻き取り対応で上司・先輩の負担を減らせたこともあり、上司からも「ありがとう」とお礼を言われるようになりました。
SESの営業に求められる「本質」を知るために
こうして、営業として自分でできることを進んで巻き取り対応していくうちに、段々と仕事を任せてもらえるようになってきました。しかしまた新しい課題が見えてきたのです。
ノヴィータの営業部では、SES(システムエンジニアリングサービス)を主に扱っています。SESという事業には様々な意見がありますが、ノヴィータのSESでは「介在価値に向き合い、関係者にご満足いただけるように」取り組んでいます。スタンスの詳細は、以下記事よりご覧いただければ幸いです。
SESの特性上、クライアント様が提示する要件や、パートナー様の持つスキルなどには専門用語が多く使用されています。
対応する業務が幅広くなるにつれ、書面などを通じて頻繁に目にするようになりましたが、ただ単純にこれらの用語に触れる機会が増えただけでは、クライアント様、パートナー様が互いに必要としているものについて理解は進みませんでした。
SESは「人材シートの内容も理解できていない営業が、仲介するだけで手数料を取る」という悪者のような扱いをされることがあります。それはひとえに、スキルを理解しないままSESに関わっている人が世の中に多いことからきていますが、ノヴィータでは介在価値を大切にしているため「スキルを理解していないと間に入る意味がない」「サービス提供者として、スキルを理解している状態であるべき」という考え方でした。一方、その在るべき論はわかりつつも、そこに自分がたどり着けていない焦りがありました。
どのような現場でどのようなスキルが実際に必要とされているかといった、クライアント様とパートナー様双方の要求の「本質」に触れられていないと当時から感じていたのです。
何もわからなかった最初は、理解がしやすかった「営業のスキル」を磨いており、メール連絡や電話での対応に比重を置いていました。ですが、業務を広げていくうちに「お困りごとの本質」を捉えるための知識が必要だと考えるようになり、技術用語や、実際の案件で用いられる言語の種類について勉強を始めました。
ですが勉強したといっても、最初はクライアント様やパートナー様との会話の中で出てきたらわからない単語をメモし、持ち帰ってインターネットで検索することからでした。調べる行動を繰り返すうちに、用語や言語の概要がわかり、どのような場面で使用されるのかが想像できるようになってきましたが、そこで終わらず、実際に技術者の方ともお話させてもらい理解を深めていきました。インターネットで調べる情報より、直接聞く「生」の情報は説得力が違います。実際の業務にあたっている方のお話を聞けたのは、重要な経験となりました。
「ご相談をいただいた以上、お困りごとの本質を捉えた会話ができるようになりたい」という思いから、これらの努力を通じて、少しずつ本質を捉えた会話に入ることができるようになってきました。
初歩から積み上げて、「先輩の代わり」を担えるように
屋形船の船頭からSESの営業という全く別の職種に飛び込み、タイピングなどPCスキルの習得、営業の心得を学習、SESに関する知識の習得といった3つの段階を経て「ノヴィータの営業」として一人前になったと思います。
ですが、最近にも大きな転機がありました。それが、これまで頼りにしていた先輩である田中の休職です。
田中の不在中、田中が大切に取り組んでいた案件を引き継いだのですが、引き継いだ業務をこなしているうちに、ある思いが湧いてきたのを覚えています。
それが「先輩から引き継いで対応していたことでも、僕が対応できることはこのまま僕が引き継いでいきたい」という思いです。
この意識の変化に気が付いたのは、田中の復帰日が近づき始めた頃でした。スムーズに復帰してもらいたいし、いきなり仕事を戻すと負荷になってしまうのではと思っていたのがきっかけで、休職前に引き継いだ業務を、必ずしもすべて元通りにすることはないと感じたのです。
それに、自分自身は仕事もプライベートも、自分が楽をするよりは相手が楽になることにやりがいや喜びを感じています。
この考えを部内に伝え、田中の復帰後も一部の業務は引き続き担当することになりました。まだまだ巻き取れることや対応できることは限られていますが、まずは「先輩の代わりとして自分が対応できるかどうか」を意識することが大事だと思います。
未経験で入社し、右も左もわからないような状態でしたが、今こうして前向きに仕事に向き合えるのは、やはりコツコツと努力してきた経験があるからです。業界にて必須であるタイピングのような基本スキルの習得から始め、専門知識をつけ、一つひとつの段階を着実に踏んできたおかげで、やっとようやく周囲を見渡す余裕ができるようになりました。今でも案件に対して疑問が出てくることはしばしばです。その度に、都度調べてみたり、調べてもわからない場合は詳しい人に聞いたりもします。周囲を見渡す余裕ができたことで、調べる行動も自然にできるようになって自分の自信にも繋がり、新しい仕事にも前向きに取り組めています。
経験のない全く別のことを始めるのはとても大変ですが、当たり前のこと、小さなことから積み上げることで成長していけるものだと思います。初歩ともいえない、全くわからない状態から始めた僕も、今では先輩から引き継いだ大事な仕事を任せていただけるようになりました。新しい環境に入る時こそ、地道に自分のできることを増やしていくことが大切だと感じています。
指導側である田中も以前、指導を通じ、期待値の言語化と共有の大切さを感じたことに以下記事で触れています。ぜひあわせてご一読ください。
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