NOVILOG

株式会社ノヴィータが運営するブログメディアです。メンバーのこと、文化や価値観、ノウハウ、様々な活動などについて発信します。

新人営業から一人前へ!成長につなげた取り組みとは?

 

営業部の田中です。今は営業部でリーダーをやっています。

営業の仕事はOJTで先輩の背中を見て学ぶもの、みたいなイメージがありませんか?

しかし、いざ自分が初めて教育係になった時に、自分の背中を見せていたつもりでも、後輩は自分が望んだようには育ってくれないという悩みを抱えることになりました。「教えているはずなのに伝わっていない」「1年経っても一人で業務を任せるには心配になる部分が多く、このままでは彼の成長を止めてしまう!」と危機と責任を感じる日々…。

教育係初心者の私が、どうやったら彼を一人前の営業マンに成長させられるのか?
悩みに悩んだ末、ある方法を試したところ、彼の行動と私の思いに変化が起こりました!

今回の話は、私の経験をもとに、教育係初心者が営業未経験者を一人前へ育成した方法をお伝えします。同じように後輩の指導方法に悩みや葛藤をかかえている方、初めて後輩を指導する立場になった方へ向けて役立つお話だと思います。ぜひ、ご一読ください。

ノウハウがない新人教育初心者が後輩を指導した結果…

2016年6月に私はノヴィータに入社しました。前職で営業を経験し、ノヴィータでも引き続き営業をメインで活動するということで入社したので、自分の中ではすんなりと業務に入っていけました。そんな私に転機が訪れたのは3ヶ月後です。

IT経験ゼロ、営業経験ゼロのメンバーが中途採用で営業部にジョインしました。
私が教育担当として動いていくわけなのですが、営業の仕事を指導するのは初めてでした。そう、教える方も教えられる方も「営業の教育」という分野に至っては初心者だったのです。

営業の教育マニュアルがあるわけでもなかったので、何から伝えればいいのか悩みましたが、まずは会社の説明、扱っているサービスや商品の説明、営業部での実際の仕事内容の説明、メールの書き方や送り方、営業部での仕事のルールの説明などを2週間程かけて行いました。

その後は、前職で私が上司の背中を見てOJTで学んできたように、彼にもそうあって欲しいと願い、クライアント先になるべく同行してもらうなどして「背中を見せた」つもりでした。しかし、すぐに「私が伝えたいこと、やって欲しいこと」が彼にはうまく伝わっていないことがわかります。彼が入社して1年経っても、私が想像していたスピードよりも成長は遅く感じられ、一人で業務を任せるには心配になる部分が多くありました。

小さなことではありますが、お客様へのメールの一次回答が遅かったり、部内への連携がなく本当に理解しているのかわからなかったり、一度注意したことを再度繰り返してしまったりと細かなミスや遅れが蓄積していっており、この時点でテコ入れをしておかないと癖になり、彼の成長を止めてしまうと危機と責任を感じました。

 

一人で悩んでいても解決しない! 顧問に相談して、もらったヒント

2017年、私はリーダー職になりました。悩み事はいつも自分一人で抱え込んでいましたが、営業の教育に関しては初心者ですし、初心者がどうやったら彼を一人前の営業マンに成長させられるのか、いくらもがいても解決策は見つけられないと思い、思い切って顧問に相談をしました。

その際に言われたのが「期待値を言語化して共有する」ということでした。

お客様との関係値の築き方だったり、部内での連携の仕方だったり、私がどういうことをやってきていて、どういうことを彼にも期待しているのか、それらを書き出してみるように言われました。

今まで業務の引き継ぎなどで自分の仕事を洗い出したりしたことはありましたが、期待値も書き出してみるということは初めてでした。当時はそんなこと自分にできるのだろうかと不安ばかりが先行していたのですが、彼のためを思い、時間を掛けて取り組んでみることにしました。

「お客様との信頼関係をどのように得てきたのか」「どのように取引先や部内で連携を行いどのくらいの時間をかけて対応しているか」「質の良い提案と悪い提案の違いは何か」「営業をする上でやってはいけないこと」などをリスト化し、それぞれの項目に、ここまではできて欲しいという期待値も記載してみました。

「期待値の言語化」をしたことで、営業未経験者に成長の兆しが!

例えば、「お客様との信頼関係」については、下記の表にあるような項目を書き出しました。

 

  • A社との信頼関係度は◎である
  • ◎となるために打ち合わせ後の御礼メールはその日のうちに行う
  • 訪問に行ってから初契約までを短いスパンで行い成約数を増やしてきた(1ヶ月に1件成約ペース)
  • そのような動きの結果として「ちょっとした相談でもお電話をいただけるようになった」「●●で困ったら田中さんに連絡したいと思いますというお言葉をいただけるようになった」
  • このような関係性まで期待値を持っていくためには「毎月定例で情報交換を行い、コミュニケーションを取っていくことが必要」

 

このように、アクティブに情報交換させていただいているクライアントを対象にリスト化してみたのです(項目などはあくまで例えです)。

【項目を表に作成した例】

 
クライアント名 信頼関係度(◎、◯、▲で記載) 信頼関係構築までの過程 過程の結果 期待値(▲・◯を◎にするために行うべきこと)
A社 ・打合せ後のお礼メールはその日のうちに行う ・ちょっとした相談で電話をいただけるようになった 毎月定例で情報交換を行うなどコミュニケーションを取っていく

 

それぞれの項目を言語化することによって、彼への期待値が明確になりました。
それだけでなく、自分が今まで無意識に行っていたことをリスト化、数値化することで自分が今まで行ってきた仕事の大きさ、逆に乏しさを自覚することができましたし、自分自身も初心にかえることができました。

「自分がここまでやってきたのだから、彼にも自分と同じように対応してほしい」と思いこんでいましたが、「私と彼は異なる人間だし、彼には彼のスピードやタイミングがあるのだ」ということも腹落ちし、「私は今まで自分のエゴを押し付けてきていたのかもしれない」と反省もしました。

ここまで自覚できたので、期待値も自分軸ではなく「ここまでできていれば営業としてはOKという基準」で設定しました。同じチームとはいえ、みんながみんな同じことができるわけではないし、私にもできないことや苦手なことはあるので、そこを補い合っていくのがチームなのだと、リスト化をすることで実感できたのです。

振り返ってみると、「期待値を言語化したリスト」を作るのに2ヶ月程かかり正直大変だったのですが、今は作成して良かったと本当に思っています。

 

「個人の得意を伸ばすこと」がリーダーの役目

リストは作るだけで終わりではなく、運用していかねば意味がありません。

リストを作成するまでは「連絡・報告は早くして欲しい」などの、私からの曖昧な指示出しに戸惑いもあったかと思いますが、いざ共有してみると明確な期待値を掲げたことにより彼自身も動きやすくなったようです。お客様との信頼関係の作り方に関しても具体的なアクションを掲げたことで、「期待値と改善策を提示してもらったことで、より対応しやすくなった」との前向きなコメントをもらうことができました。

リストを提示しながらヒアリングしてみてわかったのですが、営業1年目のときに、実際には以下のようなことでつまずいていたそうです。

 

  • タスクの優先順位がつけられない(どのタイミングで何をやるべきなのかが分からない)
  • 分からないことを聞いていいことなのかどうかが分からない
  • 私と上司の業務処理の速さについていけない

 

言われてみたら当たり前のことかもしれないのですが、業務初心者の人が陥りやすい悩みなのかもしれません。リストの作成・運用を通じて、「期待値の言語化や共有は大切」であることはもちろんですが、「苦手な部分を無理やり得意に持っていくよりも、得意な部分を伸ばしてあげることで人は成長する」ということを実感し、これこそがリーダーの役目であると腹落ちしました。

そのほかにも、メールを打つのが少し苦手だから、彼にはメールではなく電話をうまく使ってお客様と連絡してもらうほうが良い反応があったり、私が苦手意識をもってしまうクライアントでも、彼とは相性が良かったりと新しい発見を得ることができて、安心して担当を任せられることも多くなりました。
現在でも、初心を忘れないよう、営業として日々成長していけるよう、部内メンバーで毎月読み合わせを行っています。メンバー全員で自分の行動を振り返り、KPTの確認ができるよい機会にもなっており、次の目標に対する行動へ繋がっていると感じています。

入社して1年くらいはなかなか成果を出せませんでしたが、リストやレベル表の効果だけではなく彼自身の努力があったからこそ、今ではお客様とも一対一で商談ができ、毎月成果をだすまで成長しました。今後彼に後輩ができたときも、同じようにリストを運用して互いに切磋琢磨していって欲しいなと思っています。

 

「期待値の言語化」が会社の未来を創造する取り組みのきっかけに

さて、ノヴィータでは、各部のリーダーが集まって会社の課題解決に長期的に取り組んでいく研修会を毎月開催しています。その場においても、私自身が期待値をリスト化したこの事例がきっかけとなって、全社的に「チーム内の期待値を言語化する取り組み」がスタートしました。具体的には、「ノヴィータに入社したならこれくらいのことはできていて欲しい」という観点で、メンバー教育方針と期待値を言語化し、続いて「リーダーが導いていくためにはどのように対応していくべきか」という観点でディスカッションを毎月実施しています。

リーダーは「部下にはこうあって欲しい」「こんなふうに成長して欲しい」という理想像をみんな抱えています。でも、それを言語化することって結構大変で、さぼりたくもなります。「こんな感じに育ってくれたらいいっしょ!」くらいで済ませたい気持ちは正直あります(!?)。
でも、それではメンバーの成長に繋がりませんし、リーダーとしての自分自身の成長、チームそのものの成長にも繋がりません。メンバーひとりひとりが、「業務について考えていることやありたい姿を言語化する」こと、リーダーは「部下にこうあって欲しいという期待値を言語化する」こと、そして「チーム全体で共有してそれぞれが目線合わせする」ことが大事であると私は思います。そして、これを積み重ねていくことで、最終的に会社の成長にもつながっていくのではないかとも考えています。

ただ単に「共有する」というと簡単に聞こえるかもしれませんが、伝えたいことを細分化→言語化→共有するということは意外と難しく、労力を使います。しかし、労力を使った分、部下の成長に繋がった時は喜びもひとしおです。苦労して良かったと感じられます。
部下の教育に限らず、タスクを整理したい、チームビルディングについて考えてみたい、何かを改善したいと考えている人にも応用できます。ナレッジを自分だけのものにするのではなく共有をしてみると、自ずと次にやるべきことも見えてくるのではないでしょうか。

以前他チームメンバーにインタビューをした時に「共有はノヴィータの文化」という言葉をもらったことがありました。個人的にいい言葉だなと思っています。

 

私は、コロナ禍が始まるより前に実家のある福島からリモートワークをすることになったため、メンバーと離れて仕事をしていたのですが、いくらオンラインでつながっていても、時に孤独を感じ、自分は個人プレーしかしていないのでは、と錯覚する時があります。

でも、頻度高く言語化して共有を行うことで、「自分は孤独ではない」「ノヴィータの一員でありこのチームでプレーしているのだ」と再確認することができています。
リモートワークが当たり前になって、物理的に離れているところで仕事をしていることが多くなったからこそ、余計にその言葉が私にとって印象深く、「共有はノヴィータの文化」を続けていかねばならない、大切にしなければならないと改めて思えるようになりました。

私は、部下への指導方法を模索するところから「期待値の言語化と共有」の大切さに気づくことができました。「期待値の言語化と共有」、おすすめですよ。小さなことからで構いませんので着手してみてはいかがでしょうか?

 

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