NOVILOG

株式会社ノヴィータが運営するブログメディアです。メンバーのこと、文化や価値観、ノウハウ、様々な活動などについて発信します。

社長業と育児の両立を叶えるには~「見える化」と周囲への協力依頼~

社長の三好です。ノヴィータ設立メンバーで、2015年に代表取締役社長に就任し、現在は会社経営の傍ら新規事業の開発にも注力しています。

全社で月1回開催している社内LT大会で「社長業とはどのような仕事か」というテーマにて発表したところ、メンバーから私の働き方についてさまざまな質問をもらいました。

  • 経営と新規事業運営をやっていて、仕事の時間配分はどうなっているのでしょうか?
  • 会社の運営だけでなく、新規事業も行う…時間も限られていると思うのですが、三好さんの頭の中はどうなっているんだろう!と思いました。
  • 子育てしながらの社長業って実際どうですか?(仕事量や、プライベートとの両立等)お子さんが成長してきて感じる変化などはありますでしょうか。

子育ても7年目となり、いまでは仕事と両立するペースが掴めてきましたが、もちろん最初からその状態だったわけではありません。むしろ、私が社長に就任した2015年時点では、ノヴィータにおいて子育ての両立当事者は少数派だったので、試行錯誤の真っ最中でした。

出産前、過去の自分と同じようには「やれない」

夫と約束した「娘の健康を脅かすような事があった場合には、大人のやりたいことは全て中止して彼女の健康が戻る状態に注力すること」という、譲れないラインを設けて、産休のみで2016年春に仕事復帰。幸いにも、娘は1年に1回熱を出すか出さないかという健康体で、保育園からの呼び出しも数回しか経験せずにすみました。

だからこそ、「このままだったら過去の自分と同じようにやれるのでは?」と、当初は恵まれた状況だと気づかず過信してしまっていました。

現実には、出産前と違って仕事に使えていた時間は当然のことながら大きく減りました。以前と同じ量の仕事をやりきれず、できていないことに対する周囲への申し訳なさが日々募ることとなったのです。

復帰後1年目は子育ても初めてづくし。その上、私の場合は妊娠直前の2015年に2代目社長として就任したばかりだったので、社長としてのあるべきもわからない日々が続いていました。

振り返ってみると、娘の育児日記にはたびたび「今日も仕事で凹んだ」と書かれています。今だから言えますが、仕事を辞めたいと思ったこともあります。

社長という立場もあり、誰彼構わず悩みを言うことはできませんでしたが、先代社長である会長や、顧問には悩みをぶつけることができたので、「壁打ち相手」となってもらい、仕事と育児の両立をどのようなスタンスでおこなっていくのか考えを掘り下げることにしました。

自分の意思(仕事・育児をどうしたいか)を言語化して改めて確認してみる

まずは、仕事・プライベート問わず自分がやっていることすべてを洗い出しする「タスクの棚卸し」から着手しました。仕事においては財務、労務、品質管理、新規事業に関するあらゆること、担当者に実務は引き継いだものの管理は手放せない採用、営業など、いざ洗い出ししてみると多岐にわたっていました。これらは中小企業の社長において重要な仕事であり、「社長が見る」以外の手段を考えづらいものだと思います。

その上、育児タスクも重要と思えるものが多くありました。プライベートの家事なども含めると、それぞれ粒度は違えどなにかと手のかかるものばかりです。

次に、それぞれのタスクにかかる「作業時間の洗い出し」をおこないました。これにより、ほんのちょっとしたことでもそれなりに時間がかかっていることがわかります。

この「タスクの棚卸し」と「作業時間の洗い出し」を記録し、振り返ることを3ヶ月ほどおこなった上で、以下に大別してみてください。と壁打ち相手である顧問より指摘を受けました。

  • やらないといけないこと
    • 自分がやらないといけないこと
    • やらないといけないことだが人に依頼すれば済むこと
      • 部下に依頼すれば良いこと
      • コストを支払って他人に依頼すれば良いこと
  • やらなくてよいこと
    • 自分も他人もやらなくてよいこと
    • コストを支払って他人に依頼すればできることだが費用対効果が見合わないこと

これにより、自分が本当にやらないといけないことが明確になったうえ、本来なら人に依頼して責任分掌するべきなのにできていない業務が浮き彫りになりました。人に依頼するために整理することが面倒だったり、ちょっとしたことなので「自分でやってしまえばいいか」と手を動かしてしまうことで、ついつい業務をブラックボックス化してしまっていたのです。

「妥協したくない」思いと、支えてくれた周囲の人々の存在

このようにして業務整理を続けていった結果、財務、労務、品質管理、新規事業などに関するひとつひとつの業務に対して、要不要を判断する解像度が高まりました。

また、「タスクの棚卸し」と並行して、今後やりたいことも整理していました。未来に向けて書き出した「やりたい」リストをどう組み込もうか考えた結果、妥協したくないことが鮮明になったのです。ここで「仕事も育児も妥協したくない」思いを改めて確認することができました。

そうは言っても仕事は待ってはくれません。育児中のため、時間にも限りがあります。「やらないといけないこと」「やらなくてよいこと」の考え方で業務を数年仕分け続け、新しい課題にもその度に対峙し続けて今に至ります。

この優先順位付けの考え方は現在でも続けており、仕事(経営課題)においても着手できるような内容分解をおこないつつ、仕分けと優先順位付けにおいては上記のやり方を応用しています。

社長業の一部である組織マネジメントの仕事は、手を動かした結果が可視化しやすい「作業」とは異なるため、周囲の協力を得ることにより、時間に制限があっても価値発揮しやすくなると私は考えています。

「仕事も育児も妥協したくない」私が仕事をし続けられ、かつ今のような会社に成長してきたのには、寄り添ってくれた複数の人の存在があります。

社長という立場をわかった上で、仕事の進行に子育てという理由を持ち込むことで、自分自身が不利になっていくのでは?という懸念を、ストレートな言葉で伝えてくれたのが創業者である会長でした。当時は傷つきましたが、社内環境整備中に、自分の存在や行動によって育児中の人に対する期待を不用意にさげることは避けたく、「今後子どもを持つであろう社員の選択肢を狭めたくない」と奮起させられました。

また、待機児童が多い状況の中「保育園に預ける選択肢以外もありえるのだろうか」と考え、生後3ヶ月から8ヶ月の間は子連れ出社に挑戦しました。子どもを連れて行った時に気軽に声をかけてくれる社員の存在に安心したり、時に仕事を一緒にする先輩ママからアドバイスをもらったり、一時的に子どもを見てもらう等のサポートをもらったりもしました。

振り返ると、たくさんの人たちに支えられて乗り切ることができたのだとわかります。タスクの仕分けにおいて「やらなければいけないこと」かつ「自分がやらないこと」は、すなわち誰かにやってもらわなければなりません。「やりたい」未来の実現のためにも、周囲の協力なくして現在の形はなかったと思います。

「多様性のある働き方」を支える、選択肢がある就労環境の構築へ

結婚前、仕事に全力だった自分自身の働き方を振り返り、「この働き方では仕事と育児の両立など難しいだろう、女性が働き続けやすくなるような環境整備をしたい」と取締役を志願した過去もあります。

出産後は、自ら子連れ出勤してみることで0か1かではない柔軟な働き方を示せないかとチャレンジしてみたり、「食事作り」は娘の離乳食サポートもお願いしていたシッターさんに依頼したりと、どうすれば自分らしく仕事と両立できるのかと試行錯誤しました。

自分が先陣切って経験することで、その時の学びを活かして環境整備し、社員たちにもぜひ産休育休を取得して欲しいと思っていた矢先、社員で初の育休取得者が現れました。私が産休から復帰した翌年のことです。その機会に、労務の専任担当と一緒になって育休制度を一から整備しなおしました。

彼女はその後、社内で初の2人目の産休育休取得者にもなったのですが、社内のLT大会で「子どもを育てながら働く」ための知見を共有してくれており、ブログでも記事化されています。

blog.novitanet.com

 

このようにして、私の妊娠出産を皮切りに、2016年には5人だった子育ての両立世代(男性含む)は20名に増えました。その背景には、地方への転居をきっかけに、在宅で働くフルリモートワーカーが2017年に誕生し、就労環境の整備を開始したことも密接に関係しています。週3日・4時間からフルタイムの裁量労働制まで、20種類以上の働き方を選ぶことができる、そのことにより「仕事を続けていける」労働環境が構築できています。コロナ禍により2年前に全社でフルリモートワーク化に切り替えたことで、より続けやすくなったと思います。

2022年末時点では、福島から福岡まで10名以上の地方在住社員が在籍し、産休育休取得者は7人となりました。設立17年、社員40人ほどの会社としては離職率も少なく、「どうやったらそのような労働環境構築ができるのですか?」と驚きの声をいただくことは少なくありません。

自分の経験を活かして、社員にはなるべく「離職」という経験をしなくてもよいように、一生懸命「多様性のある働き方が実現できる労働環境整備」に取り組んできたことが実を結んだのかな、とご質問いただくたびに嬉しく思っています。今後は、「多様性のある働き方が実現できる労働環境整備」に関するノウハウをもって、これから推進していく事業会社さんのお役に立ちたいと考えています。

このように、働き方を選ぶことのできるノヴィータで是非一緒に働いてみませんか?

 

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