NOVILOG

株式会社ノヴィータが運営するブログメディアです。メンバーのこと、文化や価値観、ノウハウ、様々な活動などについて発信します。

マイクロマネジメントを解消し、自ら考えさせる「つまずき改善シート」

こんにちは、Webディレクターの藤村です。私は約2年前から、チームリーダーとして後輩を指導する立場になりました。チームをマネジメントするという初めてづくしの毎日で感じた課題と、対策として実施した取り組みについて社内のLT大会で発表したところ、たくさんの反響をいただきました。

この「つまずき改善シート」と呼んでいる取り組みは、マネジメント初心者だった私が後輩とどのようにコミュニケーションをとれば良いのか迷っていた時、提案された双方向型のコミュニケーション手法です。
この取り組みを通じてリーダーとしてメンバーに考えてほしいことや知ってほしいことが伝えやすくなりました。
マネジメントに悩みを持つ方、特に私と同じマネジメント業務初心者の方のご参考になればと思います。

図らずもマイクロマネジメントになってしまっていた過去

私たちディレクターが所属しているWebソリューション部では、2022年から2023年にかけてメンバーの出産や育児による休職などにより体制変更が重なりました。私の上司も休みに入ることになったので、それを契機としてリーダーへ就任することとなったのですが、少し経った頃からマネジメントに関わる悩みを持つようになりました。

特に課題として感じていたのは、当時、メンバーに対する「気になり」を大きなことから小さなことまでついつい指摘してしまっていたことです。指摘してしまった後で、「これはリーダーやマネージャーが部下・新人を管理しすぎてしまう、いわゆるマイクロマネジメントをしてしまっているのではないか。」と悩みました。

当時、他部署の方に1on1を担当してもらっていたため、面談の際にその悩みを打ち明けたところ、「マネジメント側から一方的に働きかけをするだけでなく、メンバー各自に課題を考えてもらい、解決策やその後の経過を双方向で会話してみてはどうか」とのアドバイスをいただきました。
自分にとっては初めてのチャレンジでしたが、助言いただいたやり方を取り入れてみることにしました。

課題に向き合ってもらうために双方向コミュニケーションをやってみた

部内の若手メンバーを対象に「自身が考えている課題」「解決策」「相談したいこと・アドバイス」「実行してみてどうだったか」をスプレッドシートに記入してもらい、部内で会話の機会を持つ形で月1回ほど実施することにしました。
会話は1回15分程度、朝礼のタスク報告後の時間を活用して定期的に開催を継続できました。

それぞれが課題に感じていることに対して、他のメンバーであればどのように解決するかアイデアを聞けたり、過去に同じ課題を感じたメンバーがどのような対策を実践していたかを募ったりして、ざっくばらんに会話しています。
この取り組みは「課題(つまずき)」と「解決策」を持ち寄るため、メンバーからの提案で「つまずき改善シート」と命名されて部内で定着しました。堅すぎない表現で可愛らしいなと自分では思っています。

解決策を実践してみた結果

「つまずき改善シート」を運用していくと、メンバーからも悩みや対策アイデアが複数寄せられるなど、上手く双方向コミュニケーションが進むようになりました。課題抽出から解決まで進んでいった例をお見せしたいと思います。

■事例1「他の人にうまくタスクを依頼できない」

▼課題

・他の人にタスク依頼をすることがなかなかうまくできない

▼解決アイデア

・同じような悩みの記事から解決策を探し出す
・日頃から他のメンバーにも案件に関わってもらって依頼しやすい機会を作る
・依頼しやすいと感じるタスクを依頼するところから始めてみる
・とにかくタスクを依頼してみて経験を積む

■事例2「業務状況の全体感を把握しきれない」

実施前の討議

▼課題

・業務状況の全体感を把握しきれず、タスクの期日が近くなって慌ててしまう

▼解決アイデア

・スプレッドシートを新たに用意してタスクを自分なりにまとめて管理する
・カレンダーアプリを用いてタスクを管理する

▼課題に関連してメンバーが相談したいこと・アドバイスなど

【普段のタスク管理をどのように行っているか】

Aさん
・PCに手書きメモを貼り付ける
・緊急度の低いものほど即日で着手する

Bさん
・工数管理ツールを常に開いておき、対応が完了したらすぐに記入する
・手元のメモや付箋にタスクを残して終わり次第削除する

Cさん
・カレンダー管理だと会議と重なり見にくくなるため手元のメモで管理
・メールはフラッグの色で管理
・Slackのリマインド・ブックマーク機能を活用する
・もし対応漏れがあったら、「どんな案件で」、「どうして(原因)」、「どのような(事象)」があったかを記録して、今後の対策を考える

【少し先のタスクを今もらったらどうする?】

Aさん
・カレンダーと工数管理ツールに記入しつつ、すぐに着手

Bさん
・目立つメモに残しつつ、すぐ着手する

実施後

▼実施した解決策

・メモを付箋に手書きして差し込みのタスクを管理
・Slackのリマインド機能を使う
・タスクが発生したら工数管理ツールにすぐに記入

▼実施後の感想

(相談者)付箋でのタスク管理はかなり分かりやすい。書く、貼る、剥がす、で管理できて、未着手のタスクが目に見えるのが良い。実際にやってみて、付箋やメモに残っていても優先度が低いと先延ばしする癖を発見したため、まずは優先度によって付箋の色を変える対策を考えている。

■事例3「社内外のテキストコミュニケーション」

実施前の討議

▼課題・要望

・社内外のテキストコミュニケーションで意識していることを知りたい

▼解決アイデア

社内外

・箇条書き、章立てを使ってわかりやすく伝える
・社内の検討事項やお客様からの要件に対して回答をする際、文章が長くなりがちなので以下のような順番を意識している
・何の内容の連絡なのか
・何をいつまでにどう確認して欲しいのか
・伝えたいことを箇条書きや章立てでまとめる
・締めの言葉

社内

・コメントをもらうたびに書き直して編集するとチャットなどでは見にくくなってしまうため、編集可能なドキュメントで連携する

▼課題に関連してメンバーが相談したいこと・アドバイスなど

・(上司)テキストコミュニケーションが上手だと思う人とその理由を考えてみて欲しい。
・(相談者)読み手にとって不要な緊張をさせないような文章で送ってくれるところが上手だと感じるポイントである。
・(上司)人や立場によって文面を和らげるアプローチは変わるので、そのポイントを取り入れられると良いと思う。伝える内容などによってテキストコミュニケーションは不向きな時もあり、面倒に感じることもある。一通り必要な情報を出しきってから、伝えたいことが伝わるように内容を削っていくと良い。
・(相談者以外のメンバー)箇条書きなどはすぐに取り入れられそうなので参考にしたい。

実施後

▼実施後の感想

(相談者)まだまだ試行錯誤中。最近、「お客様からの指示のうち、社内用の補足などが不要で言い換える必要のない内容」を社内に連携する場合が難しく感じている。様々な期待値が含まれている場合もあるだろうが、あまりその場で悩まず一旦社内連携を優先し、その後で理解を深めるようにしている。

▼実施後の他メンバーからの反応

(上司)改善が見られる。文章が長いことが気になる時があり、特にぱっと読みたいときに読めない情報量の際はやりとりとして難しく感じる。「テキストコミュニケーションの所作や工夫」としては良いが、コミュニケーションとしてテキストのみであることが最適ではない場合があるかもしれない可能性も踏まえ、他のコミュニケーション方法を使う検討をしてみるのを次のステップとして考えるのが良いと思う。

 

 

今回挙げた事例の他にも、「日付の誤記載」「タスクの優先順位がうまく決められない」「タスクの管理漏れ」「メールの文章を作るのに時間がかかる」といった課題が挙がりました。これらはよくある内容ではありますが、課題の背景や解決の重要性に一歩踏み込むことでリーダーとして伝えたいポイントに導きやすく、メンバーもフラットに受け取りやすい環境ができているように感じています。

 

指導側もメンバーも、課題に対して「冷静に」向き合える

つまずき改善シートを開始してから3ヶ月程度実施してみたタイミングで、メンバー全員参加のもと振り返りを行いました。シートの活用についてはメンバーからもポジティブな反応をもらうことができました。

  • 課題に感じていたことを改善できた
  • ひとつの課題に対して、複数の視点で意見がもらえるのがうれしい
  • 他の人にアドバイスをしたことを自分も実践し成長にもつながっていると感じる

継続することに意味がある取り組みとして、上司が復帰してからも続けています。

「つまずき改善シート」によりメンバーへの指摘や課題を落ち着いて話し合える機会を作れたのは大きな収穫でした。
ミスが起きた瞬間に話をするのでは、指摘する側もミスの後処理などを合わせて行わねばならず、時に焦りながら「どうして起きたのか」「今後どうするか」の話をしなくてはならないため、チーム内の空気感や雰囲気がどうしても重くなってしまいます。その反応を受けて、ミスをした側も「ミスしたことそのもの」「指摘された事実」を気にしながらの処理となっていたかと思います。
ですが時間を置いて改めて課題に向き合うことで、ミスしてしまった落ち込みややってしまったという空気感に引っ張られずに今後に向けた会話ができています。それどころか笑いが起きることもあり、チームの雰囲気づくりにも役に立っています。

「つまずき改善シート」を運用するうちに、個人の課題を深める段階から発展して、メンバー間で話し合った方が良さそうな課題を持ち寄って会話をしたり、さらに時間が経ってから過去の課題の現状を会話する貴重な機会にもなりました。

マネジメント業務に悩みを持っている方にはぜひ、「つまずき改善シート」のような双方向型のコミュニケーションをおすすめしたいです。そして私が助言をもらってこの取り組みを始めることができたように、この記事がマネジメント初心者の方の悩みの役に立てたら嬉しいです。


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