ノヴィータは2006年に設立し、インターネット(ICT) を駆使して課題解決ソリューション提案を行っている企業です。主に事業会社の方に向けたWeb制作やWeb広告などデジタルマーケティングの提案を主力事業として行う他、近年は自治体などを通じた働き方や雇用に関する提案、教育機関におけるコンテンツ発信の提案など、事業の幅を広げています。
コロナ禍でクローズアップされた「働き方改革」についても2017年頃から取り組んでおり、2020年2月から全社テレワークを開始。その後、東京都主催の第1回「TOKYOテレワークアワード」では推進賞を受賞した他、総務省が2015年から実施している「テレワーク先駆者百選」の令和3年度にも選出していただきました。
2022年1月現在も、メンバー全員がテレワークを続けていますが、業績やメンバーのモチベーションも下がることなく、新卒や中途入社メンバーのオンボーディングもしっかり対応できている状況です。
この背景には「働き方の自由を獲得できる場を提供したい」というノヴィータの強い思いがあります。「リベラルワーク」と命名したこの概念の考え方について明らかにするため、今回は代表取締役会長の小田垣と代表取締役社長の三好にインタビューしました。IT関連事業に携わる人だけではなく、「柔軟で自由な働き方をしたい」すべての人にお届けしたい記事です。
インタビュアー
コロナ以降のノヴィータの働き方はどのように変わりましたか?
三好
2019年時点で約3割が地方在住の在宅勤務だったということもあり、テレワークが行えるひととおりの設備やルールは整備できていました。それもあって、当時としてはかなり早いタイミングの2020年2月初旬(コロナ禍発生時)、本社勤務メンバーに在宅勤務を推奨。推奨期間中は常時8割以上が在宅勤務となり、かつ大きな混乱もなく、生産性も下がりませんでした。
最も出社頻度が高かったバックオフィス部門(5名所属)も、部門内の情報共有、タスク分解やフロー化等の工夫、電子契約導入等のDX推進により週1~2程度の出社に抑えることができました。
最終的に、2020年9月より正式に全社在宅勤務へ移行しています。緊急事態宣言期間中は原則在宅勤務としていて、さらに在宅勤務率を上げられるよう工夫をしています。
そんな状況でも、ありがたいことに顧客と案件は増加しており、さらに新しいやり方で潜在顧客にアプローチすべく、社外マーケティング支援コンサルティングサービスを導入するなど、マーケティング活動が活性化しているところです。
インタビュアー
厚労省が提唱する「働き方改革」を着実に進めている印象ですが、「多様な働き方を選択できる場の提供」を実現することにはさまざまな課題があったのではと思います。具体的にはどのような課題があり、それをどのように乗り越えてきたのでしょうか?
「働き方改革」の目指すもの
我が国は、「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」「育児や介護との両立など、働く方のニーズの多様化」などの状況に直面しています。
こうした中、投資やイノベーションによる生産性向上とともに、就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境を作ることが重要な課題になっています。「働き方改革」は、この課題の解決のため、働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指しています。
厚労省サイトより引用
三好
メンバーや事業の増加に比例して増えたバックオフィス業務の負荷低減のために、2015年ころよりワークフローの見直し、整備とクラウドサービス導入による電子化を実施してきました。これらは短期的な利益に直接的な影響は見えにくいですが、「投資やイノベーションによる生産性向上」につながったと考えています。
具体的には、請求書管理のクラウド化、契約書締結業務を電子契約サービスへ移行、給与明細の電子化、ツールによるタスクの可視化とコミュニケーション強化、セキュリティ強化などです。
クラウド化や電子化を推し進めるだけではなく、業務フローを最適化するためのスキルをリーダー以上に持たせるための社内研修会の定期実施や、メンバー全員が使う業務関連ワードの定義統一も行いました。
一朝一夕にはできないことばかりですが、経営企画室主導で進行管理し、全社に繰り返し導入の意義を発信して、ひとつひとつメンバーに理解してもらうことで乗り越えました。
小田垣
そもそもノヴィータでは、家庭の事情で地方転居することになっても、継続して勤務したいメンバーの環境構築のために2016年ころからのテレワーク導入を実施していました。これは、2代目代表の三好がママになった経験から、ライフイベントがあっても働き続けられる環境の整備を強化した中のひとつです。オウンドメディア「LAXIC(ラシク)」でも、主にママを対象にした働き方の発信を行っていたこともあり、ノヴィータで働く女性は半数を超え始めていました。
このような経緯で導入したテレワーク環境整備や社内DX推進の実績を評価いただき、私個人としてはCIO補佐官アドバイザーとして兵庫県豊岡市で活動させていただいています。2018年には豊岡市で拠点を作ることとなり、現地在住で在宅勤務に従事する女性を、当時4ヶ月間の採用活動で計6名も採用することができました。このことにより、モチベーションも労働意欲も高い女性が数多く潜在していることが顕在化され、豊岡市役所の担当者も驚いていらっしゃいました。
豊岡市では女性、特に育児中の方の雇用を増やす取り組みを市内外で増やそうとしており、本事例を通じて地域の持続的な発展に貢献できていると自負しています。女性の雇用を増やすためにはジェンダーギャップの解消が必要で、それこそが地域活力につながりうる要素だととらえて積極的に活動しており、今後も同市の行政とは強い関係性をもって事業拡大にあたっていくつもりです。
この、現地在住で働くメンバーは、未経験からデジタルマーケティングスキルを身につけて、現在では自分たちが学んできた経験をカリキュラムに落とし込むまで進化させました。パソコンやスマートフォンを通じて商品を売る仕組みを戦略的に設計し、ビジネスに貢献する人材育成可能な講座として「デジタルマーケティング習得コース」を作りあげ、但馬技術大学校や豊岡市へ提供しています。
この他にも、テレワークという働き方が導入された後に、福島県にUターンして継続して働くこととなったメンバーより「地元の発展に貢献をしたい」という強い思いをぶつけられました。このことがきっかけとなり、会津大学が提供する「ステップアップ講座」のうち、デジタル活用に関する講座を2年連続で、全国にいるメンバーが講師となり、オンラインで提供させていただいています。
さらには、モバイルワークに取り組むことが可能である中小事業者へ、ワーケーション先を提示するにとどまらない「ファムトリップ(視察旅行)」にも1年以上取り組んでいます。ワーケーション先となりうる地方において、「持続可能なもの、既存のものをどう生かすか」という点を、モバイルワーカー側にとっての「何回でも行きたくなる理由にする」ことで関係構築を目指すものです。マッチングの手間はかかりますが、地域の状況や特徴、参加者が行うビジネスやビジョンを丁寧に拾うことで双方にメリットがあります。
こういった事業上の取り組みそのものが、「就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境を作る」ことにつながっていると捉えています。
インタビュアー
「多様な働き方を選択できる場の提供」についてもう少し具体的に聞かせていただきたいのですが、実際にはどのように場を構築しているのでしょうか?
小田垣
僕は「働き方の自由を獲得できる場の提供」と言っています。順を追って説明します。
まず、経営者が経営目標を設定して各部門に伝達していくのは当たり前のことです。各部署の目標から各チームの目標、そして個人目標の順番で設定していくのも当然のことです。
個人目標を設定するということは、降りてきた目標設定をそのまま自分に課するだけという単純なことではありません。降りてきた目標に対し、自分のできること(スキル)は何か、スキルを活用すると何時間で何がどれくらいできるか、その見立てを言語化することができて初めて、「経営目標へ繋がりうる個人目標を定めることができる」と考えています。「経営目標へ繋がりうる個人目標を定めることができる」ということは、すなわち「自分の業務スキル(ジョブディスクリプション)を言語化する」ことができるということです。
「自分の業務スキル(ジョブディスクリプション)を言語化する」ことができることにより、個人目標<チーム目標<部門目標<経営目標への積み上がりとなり、定めた経営目標に向かって最短最低コストで走れる状態となります。これが「期待値のすり合わせ」です。
この「期待値のすり合わせ」を常に更新し合えること、加えて心理的安全性を保ちつつその関係性を築くことができることそのものが「働き方の自由を獲得できる場の提供」だと考えています。ゴール設定と登り方、自分ができること(ジョブディスクリプション)をお互い腹落ちできるレベルまで言語化してすり合わせた人であれば誰でも、働く時間や場所が同じでなくとも働けるということです。
三好
「期待値のすり合わせ」の仕方についてですが、こまめなコミュニケーションによる言語化を行い、複数のフレームワークを用いながら実施しています。オフィス勤務時から実施していたものもありますが、全社テレワークとなってから見直しを行い、コミュニケーション施策を強化しました。
具体的には、全社テレワーク移行前から行っていた半年に1度の社員総会、月1回の数字結果報告、月1回の各人の業務についての5分間ショートプレゼンに加えて、週1で全社朝会も開始しました。これにより、メンバーに向けて横断的に会社の現状共有を行うことが可能になりました。
また、チーム単位での横連携も必要となるため、リーダー級会議で部門間の情報共有や課題検討、体調・精神面でメンバーが悩みを抱えていないかなど、課題の可視化や対処について相談できる体制をさらに整えています。
日々の稼動管理で無理のない業務体制が取られているか、目標面談や人事面談で本人と会社側の意向がずれていないか確認を取り合える体制も継続して実施しており、これらのことから、できうる限り「ファクトフルネス」に基づいて、現実を直視して言語化し、抽出された課題を継続的な取り組みにより解決することで「期待値のすり合わせ」を行っています。
私たちは、この働き方のことを「リベラルワーク」と名付けています。
インタビュアー
なるほど、「働き方の自由を獲得できる場の提供」を行うということは、ただ場だけを提供するだけではなく、お互いの「期待値のすり合わせ」のもとに場が成り立ってこそ、ということなのですね。
さて、コロナ禍を経てたどり着いた「リベラルワーク」ですが、この働き方を推し進めることによりノヴィータはどうなっていきたいのでしょうか?
小田垣
働いている場所や働き方などはどうあれ、お互いの「期待値のすり合わせ」を言語化できる法人組織と人であれば、流動性の高いこの時代でも、継続的な事業活動を行っていくことができると考えています。
法人組織の存在意義は社会課題の解決ですから、「リベラルワーク」によって、そこに最短最速で取り組んでいきたいです。
もちろん、僕らもまだまだ「期待値のすり合わせ」の言語化が完璧にできているとは言い切れません。既存のメンバーにも改めてお願いしたいことではありますが、一緒にチャレンジしていってくれる人たちと、「働き方の自由を獲得できる場」を作り上げていきたいと考えています。
三好
社内を見て必要だと思ったことをやり続けてきた過去を振り返るに、「働き方改革」における国の指針にリンクしています。
「リベラルワーク」の概念が広まれば、中小企業でも「働き方改革」が進められると思っています。私たちが獲得したノウハウやナレッジは、2022年も引き続き、このNOVILOGのみならず、LAXIC(ラシク)などのオウンドメディアで発信していく予定です。
「働き方改革」は言葉だけがひとり歩きしている遠く届かない目標なのではなく、「自分たちで積み上げて形にしていくもの」なのだということを、私たちの取り組みを公開することを通じてお伝えできればと思っています。
インタビュアー
ノヴィータにおける「多様な働き方を選択できる場の提供」の実現がどのようなものかよくわかりました。既存のメンバーにもきちんと考え方を伝えつつ、「リベラルワーク」を理解してくれる方にもジョインしていただきたいですね。
2022年もよろしくお願いいたします!
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