NOVILOG

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従業員の給与はどう決める?決まる?「給与の仕組み」をわかりやすく説明します!

給与の妥当性を人に説明できますか?

ノヴィータ会長の小田垣です。さっそくですが、会社から給与をもらっている皆さんへ質問です。
自分の給与は妥当ですか? では、自分の給与の妥当性を説明できますか?
逆にどのくらい稼げるようになりたいですか? では、どうやったらその給与を会社が払えるでしょうか?
この2つの質問に上手に答えることが出来る人は、どのくらいいるでしょう。

僕はいろんなアルバイトをしてその後にインターンを経験して、社会人経験をせずに起業した。だから、給与としてもらっていたのは時給1,000円から2,000円くらいの『バイト代』でした。
インターンをしてた頃。僕は年中無休で仕事をしていました。
自分が事業を立ち上げるんだ!僕が給与をその会社から持っていくと事業資金が減るから無給でやるんだ!と、そんな風に思っていました。今の世の中で言えば凄く凄くブラックなことだと思うのですが、当時の僕はとくに違和感を感じていませんでした。

そんな僕ですが、給与を払う側となって一緒に働く人には同じことを求めるわけにはいきません。やり甲斐は提供する!でも、事業資金が減ってしまうから無給で休みなく働いてくれ!なんて言ったら、誰もついてきてくれなくなっちゃいますから(笑)。
給与になるまでの仕組みが明確になっていないと、ホントの意味で僕の目指す会社経営はできないと感じています。
今回の話は、従業員に給与の妥当性を示すことの出来ない管理者や、駆け出しの会社経営者へ向けて、給与の成り立ち構造の仕組みを解説したいと思います。

会社から給与をもらっている人も、「何となく給与額が少ない気がしてるけど、どうやったら給与が上がるのかわからない。そもそも給与額がどうやって決められてるのかわからない。だから、やる気になれない」と思うことはないでしょうか?
思い当たる人は、給与アップのヒントになると思うので、ぜひ一読してみてほしい。

 

月収33万円の人を雇うと会社のコストはいくらかかるか?

では早速、解説していこう。数字が多く出てくるけど、なるべく分かりやすく解説していきます。
例えば、「年収400万、月均等払いで33万円」の人を雇ったとする。
一日8時間程度の稼働で、時給にすると2,000円程度です。
(※33万×12ヶ月(一年)=396万円。数字は計算しやすいように丸めてます。)

■人件費

  • 社会保険1.6万円、年金2.9万円
    (※労使折半なので個人でも同額を給与天引きで支払っています。つまり、会社とあなたで毎月(社会保険1.6万円+年金2.9万円)×2を政府に掛け金として払っています。)
  • 雇用保険1,000分の6加算
    33万円の給料を払う際に、会社は約38万円を負担します。

  • その他、給与明細に記載されるものでいえば交通費などで仮に1.5万円とした場合、合計39.5万円となります。

【一人の人件費は約40万円】

ここまでは給与明細に出てくる話。それ以外に会社が負担している費用となると家賃や間接部門の人件費などを考える必要があります。

■販売管理費(販管費ともいう)

地代家賃:家賃の他にオフィスの家具や内装の費用もざっくり一人あたりで割ると月額3万円程度。

  1. 設備環境:パソコン、ルーツのサブスク費用、ソフトウェアのライセンス費、コピー機など仕事に必要な機材系。水道光熱費にネット代。コピー用紙や文具などの消耗品。合わせると月平均で6万円程度。

【一人の販管費は約9万円】

■福利厚生費

オフィス用のお菓子やフリーウォーター、社員総会や送別会や歓迎会など2万円の積立と見ます。

【一人の福利厚生費は約2万円】

■間接管理部門の均等割

事務、総務、経理、情シス、広報、など直接売上をあげる役割を持たない人員を間接人員と言います。(※制作・開発会社であれば、営業を含むケースもあります。)
規模や業種によってさまざまですが、仮に100人の会社で間接人員を10%ほどとします。この人達は売上を持たないので、売上を立てる人が負担します。
90人で10人を頭割りすると一人あたり0.1人程度ですね。
モデルケースと同じ年収400万円としたら一人あたりの負担は月額5万円。

【一人の間接管理部門均等割は約5万円】

以上、会社を運営していくためにかかるコストは、月額約55万円になります。
内訳はざっくりこちら

  • 一人の人件費は約40万円
  • 一人の販管費は約9万円
  • 一人の福利厚生費は約2万円
  • 一人の間接管理部門均等割は約5万円

仮に従業員が10名の会社であれば55万円×10人=550万円
つまり、毎月会社を運営していくために出ていくお金は550万円!!

一人の給与が33万円だとしても10人いたら330万円ではないのです。

ここまでで月額55万円⇒会社を運営していく費用は月額550万円

更に会社を運営していくと次のようなことが起こります。
これは嬉しい悲鳴ですが、費用がかかることには違いありません。

■採用教育

たくさん注文が入り始めたから人を採用しよう!
採用した人がすぐに現場に入れないから教育しなくちゃ。

こうなると、採用するための媒体費用やそれに関わる間接管理部門の稼働がかかります。また教育訓練中に合わないからと退職する人も当然発生します。
年間で3人採用するのにかかるコスト900万円(一人に付き求人媒体コスト200万円、採用業務の稼働コスト100万円、3名なのでその3倍)。

【一ヶ月あたりは75万円】

■営業仕掛り

このお客さんはどうしても逃したくない。もう少し営業を粘ろう。
その間、受注が来たらすぐに動けるように他の案件に稼働を取られないようにしよう。
稼働が無いからといって従業員に給与を払わないわけにはいきません。
年間で1ヶ月分(一ヶ月20日のうち約2日程度)ほどのバッファが発生するとすると月間55万円。

【一ヶ月分あたり55万円】

■新規商品企画

今の人気商品もそのうちピークが過ぎていく。
今のうちに新しい企画を考えてお客さんを離さないようにしよう。
ここは会社の中で意思統一が図れているとして上記の営業しかかりなどのバファで考えるとして社内原価は無しとしても。サンプルを作ったりリサーチ会社を使ったりすることを考えて年間で1,200万円。

【一ヶ月あたり100万円】

以上、会社が成長していくために必要なコストは月額約230万円になります。
内訳はこちら

  • 採用教育 75万円
  • 営業仕掛り 55万円
  • 新規商品企画 100万円

社員が10名なのでこれを均等に割ると23万円となります。

ここまでで55万円(会社を運営するためにかかるコスト)+23万円(会社が成長していくために必要なコスト)=78万円。

会社を維持していく毎月のお金550万円と成長させていくお金230万円を足すと780万円が毎月必要となります。
さぁ、会社はここから利益を必要とします。利益が生まれない前提であればこの事業をリスクと取って投資する株主はいないから当然ですね。

では、事業の利益をこの原価の10%としてみましょう。
毎月78万円の利益です。年間で936万円。丸めて900万円とします。月に直すと75万円です。
これで、会社にも利益が残り税金も払えます。

ちなみに、資本金1億円以下の法人などでは、税金は800万円までが15%程度、それ以上の部分が23%程度です(800万円×15%+100万円×23%=120万円+23万円=143万円、900万円の利益から引かれます)。

維持していくお金550万円、成長させていくお金230万円、会社の利益75万円
これを合計すると855万円が毎月必要なお金になります。

それでは、いよいよ回答です。月収33万円の人を雇うと会社のコストはいくらかかるか?

答え:月給33万円をモデルとすると、月額86万円が必要となりました。

従業員10名の会社の場合で、会社を成長させながら正社員一人を雇うのに、給与の2.5倍以上のコストがかかっていることが分かると思います。
もちろん小さな会社だからこの利益額ですが、大きなビルに入っていたり、投資を先行させているような事業をやっていたり、事業規模が大きくなれば当然もっと多くの利益を必要とします。

 

売上から引かれるもの

会社が給与を支払うには売上が無いといけません。売上が無いと給与やその他の販売管理費諸々を払えないからです。

  • 売上から外注費を払います
  • 売上から給与を払います
  • 売上から販売管理費を払います
  • 売上から諸々の費用を払います

例えば、300万円の案件を受注したとしても受託の請負型の事業であれば、そのほとんどが社内で作るものなので外注費はさほどかからないでしょう。

しかし、これが仕入れをメインにしている会社であればどうでしょうか。
売上300万円に対して、仕入れ(外注)費が80%とすると、

300万円×80%=240万円

粗利益で残るのは60万円です。

ここから会社を運営していく費用と会社を成長させていく費用を払わねばなりません。

つまり、売上額に対して外注費や仕入れ費用が大きく占める事業をしている場合だと、相当の売上を稼がない限りは会社を運営していくことが難しいわけです。

毎月855万円(運営費+成長費+利益)が必要な場合を想定すると…

300万円の売上、80%の仕入れ(外注)、粗利益60万円のような案件が、855万円÷60万円=14,25。つまり、案件数で言うと15本は必要となってきます。

そして、売上額で言うと4,500万円が毎月必要になってきます。事業を維持していくために目標とするべき売上高がわかりました。

これまでの計算の流れをふまえ、ざっくりとでも給与になるまでの仕組みを掴んでくれたら嬉しいな。

 

会社を経営していくために必要なこと

働いてくれる人がいてこその会社です。

  • 給与はどのような仕組みで成り立っているのか?
  • 売上から何がどう差し引かれているのか?

このような説明があってこそ、従業員の人は、自分が受注した金額の意味を感じられたり、いかにして粗利益を増やせばいいのかについて思考が進んだりするのではないかと思います。
しかし、働いてくれる人がいても利益が出ないビジネスモデルでは、会社は継続できません。利益が出ないとお金が増えないので、出資してもらったお金、借りてきたお金も全部無くなって従業員に給与も払えなくなって終わります。

そのため、労働時間、職能や技術といった個人の努力によって粗利益を増やすことが出来るようになっているビジネスモデルがあることが、事業会社が継続できる大前提になります。そのビジネスモデルを会社が提供し、そこで粗利益を増やすことが出来れば給与が増えるという仕組みが必須になります。

働く人が「粗利益を増やすことこそが、自分の給与が上がるために必要なのだ」と理解してくれることが、会社を経営していく上で一番大事なことだと思います。

ぜひ皆さん、自分の会社の運営に必要なお金、成長に必要なお金、そして、売上から差し引かれるものを明確にしてみてください。
働く人たちも当たり前のこととして、給与の中身を知りたいと思ってきています。年功序列がなくなりジョブ型の雇用や複業(副業)の波が来る中で当然のことです。

「どうせわからないだろう」って説明を疎かにしていると、ビジネスが分かる優秀な人から他社へ移ってしまいますよ。

給与に行き着くまでを文章化して個別事例として一緒に働く人に提供すると、個人的には大きな隠し事はなくなる気がしています! 利益を意識した行動が出来る社員は行動指標が経営者と同じなので話が伝わりやすいです。

最後に、従業員として働いている皆さんへもメッセージをお伝えします。
最初は、自分ごとに感じるのはなかなか難しいと思います。ちょっと見方を変えて、給与として支払いを受けたお金から自分がお小遣いとして趣味に使えるお金はどのくらいでしょうか? また、給与よりも大きな金額の買い物を続けているとどうなっちゃうでしょうか? そんな風に考えてもらえると少しは身近に感じられるかもしれません。

自分がどういう行為をしたら、どういった評価をされて、どういった対価が与えられるのかを分かっていることは大事です。

給与が上がるというのは対価の一つであって、粗利益が増える行為が理解できると、休みの取得もしやすくなるし、出勤の必要がなくなる可能性もあります。

会社が運営されている仕組みを理解し、自分自身の給与が上がる構造が理解できれば、仕事で自分の興味のあることを事業にしたり、自分のプライベートにも活かせるような知識や経験が出来たりと、お金以外の「やり甲斐」にも目が行くようになると思いますよ。

 

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