NOVILOG

株式会社ノヴィータが運営するブログメディアです。メンバーのこと、文化や価値観、ノウハウ、様々な活動などについて発信します。

業務分解で得られるメリット ~変化に強い組織に向けた働き方改革や業務改善の第一歩~

ノヴィータ広報担当 兼 NOVILOG編集長 中根です。

近年、社会における働き方の価値観は大きく変化しています。ノヴィータでは現在、20種類以上の柔軟な働き方や全社リモート勤務を行っていますが、設立時からそうだったわけではありません。
10年ほど前は、オフィス勤務で勤務形態はフルタイムのみ、業務も属人的で、休みの際は止めるなど自分自身で都合をつける状況が散見されていました。いわゆる、中小企業ではよく見られる仕事の仕方です。
ですが、今ではノヴィータ代表・三好の意向や推進があり、リモートワークかつ、「属人ではなくチームで行うこと」、「チームで一定の品質となること」を目指しています。

このようなノヴィータの働き方改革を推し進める鍵となったのは「業務分解」でした。この記事では、業務分解がもたらすメリットとその具体的な実践方法についてご紹介します。

働き方改革には業務分解が必須

業務分解とは、担当する業務を細かいタスクに分解し、誰でも理解できるよう言語化・可視化することです。ノヴィータでは自社の経験から、働き方改革の第一歩は「業務分解」であると考えています。
業務分解のメリットを提示します。

業務分解したらチーム化ができる

業務を細かく分解できるとメンバー個人でも業務を管理しやすくなるだけでなく、案件をチームで共有しやすくなるメリットがあります。業務の目線合わせを行いやすくなることで、メンバーと管理者それぞれに良い効果をもたらします。

業務の再現性が向上するほか、自律的な見直しにも

ですが業務分解の本質はこうした業務の目線合わせだけでなく、再現性が高まるという部分にあります。
「一連の業務」という作業の塊ではなく、タスクが詳細に言語化・フロー化されていれば、特定の担当者に依存することなく、別のメンバーでも同じように業務を進められます。普段から業務分解および可視化がなされていると、急な欠勤や担当変更があった際にも業務の滞りが発生しにくくなるのです。
チームで対応できると、担当者一人しか作業できない状況を防ぐことでメンバーの負担を軽減できるとともに、管理者やマネジメントの立場からも進捗を追いやすくなります。

業務分解を意識することで、メンバーにとっても普段の業務を客観的に見つめ直し整理する助けとなります。さらに、メンバー間でも業務中の作業の認識のズレや違和感を見つけることができ、早期かつ自律的に軌道修正することも可能になりました。

適切な業務分解を行うと、チーム内での共有が加速するだけでなく、いつでも引き継ぎができるように自然と準備がなされていき、結果的に柔軟な業務体制を作るきっかけとなっています。

チーム対応や引き継ぎは、お互い様で「大前提」

なお、ノヴィータには「引き継ぎが発生することが前提」という考え方があります。いわゆる二項対立のような、「支える側・支えられる側」という関係になりやすいなどの話はよく聞きますが、育児や介護、急な体調不良など、誰にでもいつ何が起こるかわかりません。
大切なのは、全員が「いつか自分にも起こりうる」「お互い様である」と認識し、引き継ぎが発生することを大前提として、必要な業務をチームで対応できる体制を整備しようという考え方でした。

2度の産休育休をとったメンバーと関係者において、引き継ぎエピソードを通じた業務分解や可視化の実体験はこちらで紹介しています。興味のある方はぜひご覧ください。
https://blog.novitanet.com/entry/2024/06/12/080000

経営者視点での業務分解の意義とメリット

業務分解は経営視点でも大きなメリットをもたらしてくれます。

業務改善が加速し、業務遂行時の選択肢が増える

前述の通り、チーム化の実現を通して、会社全体の業務遂行能力を高められます。

また、ノヴィータが業務分解を心がけるなかで、特にメリットを感じたのは業務フローの設計やプロセスの見直しが行いやすくなることです。
業務改善は、経営の中で大きな課題として挙げられやすいひとつです。改善したい業務の例として、「複雑さや曖昧さがあることにより業務が担当者にしかわからない」というものの改善においては、業務分解というアクションがその助けになっていきます。
業務分解が適切に行われていない組織では、不明瞭な業務フローによって余計な手戻りや挽回のための作業が増えてしまうというメカニズムがあります。その影響は、「この人にしかできない」という属人的な状況を通じて現れます。

また、それぞれのタスクの捉え方が大雑把だと適切に整理できません。最小単位に分解できていないと、客観的には不明瞭な部分が発生し再現性が下がります。ノヴィータでは、最小単位に切り分けるトレーニングのカリキュラムを持っており、場合によってそのトレーニングをメンバーに受けてもらうようにしています。

適切な整理と可視化、チーム化による担当者の柔軟性を持たせていれば、社会の状況やメンバー状況の変化に合わせて、対応方法の選択肢を増やすことができるのです。

リモートワーク実現の第一歩「業務分解」

働き方改革として取り入れたい「リモートワーク」「テレワーク」においても、取り組みの第一歩は業務分解からだと考えています。

ノヴィータの働き方をご紹介する際に驚かれることのひとつとして、バックオフィス業務においてもリモートワークが基本で、出社は週1~2と最低限にしていることがあります。
コロナ禍以前の2017年からリモートワーク化を進めていたため、機器やライセンスなどを地道に整えていたという背景があります。そしてコロナ禍で、全社にリモートワークを対象を拡大した際にも、リモートで対応できる業務・できない業務の整理がスムーズに進み、生産性を落とすことなく移行しました。

極力のリモートワークへの移行に際し、バックオフィスでは出社で対応するタスクの事前準備を在宅で行うよう、フローの整理を行いました。その際、業務分解の意識を持っていたことが大きく役立ちました。

前提として、リモートで対応する業務、出社で対応する業務、それぞれの切り分けは以下の2点の整理しておく必要があります。

  1. 業務におけるタスクの細分化や切り出し
  2. デジタルを活用しどのように業務を進めるかの理解

業務分解ができていないところにデジタル・遠隔という要素が絡むとさらに複雑になっていき、最終的に「これはリモートワークではできない」という判断となりがちです。
リモートワークを考える際も、まずは業務を分解してその1つずつに対し「リモートで対応できる・できない」を検討してみてください。

業務分解したら人材成長にもつながる

3つ目のメリットとしては、業務にやりがいを感じられるきっかけとなり、メンバーの成長も加速していったことです。

時短勤務者への業務依頼と成長

ノヴィータでは多様な働き方のメンバーを受け入れており、最も短い方で月48時間の働き方となっています。単純計算をすると週12時間、すなわち週3、1日4時間勤務に相当します。

時短勤務の方へ仕事を依頼する場合、「時間内に対応できる」ことなどを考慮すると、対応が複雑で時間が読めないような業務は依頼しにくくなり、結果として単純な作業のような依頼が多くなる傾向にあるかと思います。

ですが、ツールを併用して業務全体の可視化・細分化の後、前後もふまえて作業依頼をするようにしたところ、作業の前後関係をしっかり把握できるという利点があることに気がつきました。
切り出された作業のように見える仕事の「直前にどのようなプロセスがあり、次に必要な対応やプロセスをふまえ、今この作業をしている」という流れや対応の必要性を感じ取ることができたというのです。
あわせて、業務の全体像が見えることで、手順を覚えやすくなったり作業者としての当事者意識も持ちやすくなったりしました。

プロジェクト内の自分の役割をはっきりと認識し、タスク作業者の良い緊張感として責任を感じつつ、やりがいが大きくなったという声が聞かれました。業務がしっかり可視化されることで、タスクの完了という形で貢献の証が目に見えたのもその要因の一つにあります。

一見すると単純な業務に見えても、情報の伝え方や切り出し方によって、時短勤務の方にとっても「責任」や「やりがい」を見せることができるというのは、人材成長の観点において大変大きいことであると考えています。

長年在籍しているメンバーの業務棚卸し、採用要件の明確化も

さらに、タスクを切り出して担当する側だけでなく、一連の業務を担当していた長年勤務しているメンバーの棚卸しにも繋がりました。
業務を移譲し、可視化する過程でこれまで明確になっていなかったノウハウや気づきを可視化・集約化でき、会社としても属人性の解消や組織全体のナレッジとして蓄積するきっかけとなったのです。

他にも、ノヴィータでは各対応を稼働時間として記録している文化があり、業務分解とセットで見ることで、必要なスキルや、業務ごとにかかる時間数などの要件イメージを持てるようになりました。
稼働ログはメンバー視点において、効率化や業務改善の意識に繋がっています。

ルーティン業務が多いとされるバックオフィス業務でも、新規事業における諸対応や法改正、メンバーの入れ替わりなどでプロセスのアップデートが頻繁にあります。業務を分解し細かいタスクに落とし込めていると、その一覧や全体を見ながら、今後どうやってアップデートするか検討する負荷も抑えられるようになりました。

また、ノヴィータではマネジメントスキルの一環として、リーダー以上の社員にプロセス分解の考え方を身につけるトレーニングや研修を実施しています。業務分解のスキルを持つことで、業務見積もりの精度が上がり、適切なタスクの割り振りにも寄与します。

チームをまとめる立場でこの考え方をしっかり持ち、業務フロー・プロセスは常に変わるものである意識を持ち、見直しや再確認のタイミングを定期的に設けた結果、急な状況変化にも対応できる「変化に強い組織」にノヴィータ自身が進化しました。
メンバー視点からは、それぞれが希望する柔軟な働き方を叶えることで離職を防ぎ、モチベーションを持って働き続けてもらえる環境作りにも繋がっています。

業務分解の具体的なやり方

我々が経験したことからも、業務改善の第一歩は業務分解にあると考えています。
適切に業務を分解し不明瞭なタスクやプロセスを残さないことで、急遽の担当者交代などをはじめ選択肢を広く持つことができ、状況の変化にも柔軟に対応ができるようになります。

このようにメリットの多い業務分解を、具体的にどのようにやるかを説明します。

業務をタスクとして切り出す

自身の担当している業務の中で対応していることを1つひとつの工程ごとに切り出します。
この「業務をタスクとして切り出す」ことが業務分解の第一段階です。

ただし、ここでタスクを最小の工程まで切り出しできていないと、不明瞭さを残してしまったり、場合によっては属人的なままになってしまったりします。

タスクを組み合わせてフローを可視化

業務を最小工程まで小さくしたら、そのタスクを組み合わせてフローに落とし込みます。
せっかく振り返るので、これまでの業務の流れを再現するのではなく、枠にとらわれず、タスクそのものや関係者に合わせて改めて見直しましょう。そうすることで、今まで見ていなかった影響範囲や、効率性に関する新たな発見があるかもしれません。
リモートワークの実施に向けた整理の場合、このあとタスクごとにデジタルで・遠隔でできるかどうかを見直してみましょう。最小単位で業務を分解できていれば、できる範囲や必要な段取りも見えてくるのではないでしょうか。

注意点

文章で業務を書き出すのは、1つの工程に複数のタスクを含めてしまう傾向がありますので注意してください。文章で書き表すよりは、表形式のもの(Excelなどでも可)に、できるだけ細かくなるよう心がけながら所作を1つずつ書き出していく方法がおすすめです。

実際の運営

こうした業務分解を経てフローを整えていくにあたり、ノヴィータのバックオフィスを例として運用のコツを紹介します。

普段の対応

普段の対応時は関係者が広く見る(アクセスできる)場所でコミュニケーションを取り、状況の共有を行います。
また、決まったフローは進行管理ツールにも記録しておき、皆が確認できるようにすることもルールとしています。作業に必要なドキュメントや資料の具体的な指定や格納先、対応のコツなども明確に記載しておくことで、やることや参照先をできるだけ可視化するようにしています。

フロー変更時

フローの変更やアップデートがあれば、進行管理ツールに記録している内容も更新します。
また、変更に際しては以下を心がけます。

  • 変更するフローについて関係者とすり合わせを行う
  • 新しいフローのトライアル期間を設定し、振り返りも行う

フローの変化は様々な要因で起こりますが、タスクそれぞれに各担当者の段取りや細部準備、変更点の理解なども必要となっています。そのため、一気に移行するのではなく関係者を巻き込みながら、段階的に移行していくことが多いです。

バックオフィス業務であっても、フローも状況もルールも変わるのが常だと考えています。分野によっては、これらの変化が激しい場合も多くあるでしょう。
業務分解の考えを取り入れ、自分自身でない担当者に突然引き継ぐこともありえると常に想定しながら業務にあたっています。

業務分解はよりよくする「起点」

業務分解のメリットは、単なるタスク管理的なもので終わりません。変化に対応できる柔軟な組織作りや、社員一人ひとりの成長の一助であり、何よりチームとして協力して業務を推進し負担を偏らせない「働き方」「選択肢」を育む重要なポイントとなります。

 

このノヴィータのやり方は、リモートワークや柔軟な働き方を導入するための一つの例だと考えています。業務分解を行うことでどのように選択肢を増やしていったのか、実際に「働き方改革」を進めていく間に経験したことや事例を含めて中小企業の方々に役立つポイントをホワイトペーパーにまとめています。詳しく知りたい方は以下よりご確認ください。

「生産性向上と新規事業成長の両立に向けて 働き方に関する2つのポイント」ホワイトペーパー
https://www.novitanet.com/news/20250605.html

 

また、業務分解を経て得た働き方のノウハウは、ノヴィータの新規事業でも活かしています。
様々な強みを持った駐在員パートナー(配偶者の海外赴任に帯同する状況になった駐在妻・駐在夫)の方を、企業とマッチングする人材サービス「CAREER MARK(キャリアマーク)」を提供しています。
渡航前に大手企業での勤務経験やリーダー経験のある方も多く、語学力、適応力、柔軟性、コミュニケーション能力、仕事への意欲など高いポテンシャルを持っています。新規事業の推進をはじめ、中核人材候補として非常にマッチする人材と考えておりますので、以下よりぜひお問い合わせください。
https://careermark.net/business/

 

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