ノヴィータ広報担当 中根です。
以前少しだけブログで触れましたが、今回のブログでは、ノヴィータのマネジメント層が行う研修兼、組織マネジメントのための定例会議(組織KPT共有会)の取り組みについてご紹介させていただきます。
この会議は、組織の課題を解決するため、現状把握から改善案出しに関するフレームワークを使いこなせるようになることがマネジメント力の向上につながるという「研修」の考え方とともに、実際にフレームワークを使い課題を洗い出して話し合う「討議」の両方の考え方を持つ会議となっています。
2016年4月より取り組みを開始し、1ヶ月に1回、1時間半行っています。内容を少しずつ変えながらも約2年半、24回ほど運営してまいりました。今はKPTを始めとしたフレームワークをいくつか指定し、発表スケジュールを立て、それぞれ持ち回りで部門や課題関係者と内容を振り返ってもらい、会議の場でどういう話が出たか発表をしてもらっています。時には、そこで明らかになった課題や改善について、数ヶ月に1度進捗を追いかけたりもします。
使用フレームワーク
現在、この会議で利用しているフレームワークは以下となります。
KPT(Keep/Problem/Try)
振り返りのフレームワークとして有名なKPT。良かったこと、課題になったこと、その課題になったことに対して何を打ち手とするかを洗い出していきます。生産的に(誰かを責めない)、かつ着実に課題解決をしていくことを目的としています。
マジカ
『はじめよう!プロセス設計』という書籍にて提唱されている、プロセスを書き表すフォーマットです。プロセス設計をしたことがなくても気軽に、プロセスを書き表せるようになっています。業務のプロセスを明らかにし極力属人化をなくすこととともに、プロセスの無駄に気づくことも狙っています。
職場の問題かるた
『職場の問題かるた』という、職場のよくある問題がかるたになっていて、遊びながら職場の問題について考えていけるツールです。メンバーが言いにくい、言語化しにくい問題をこのツールで明らかにすることを狙っています。
20マイル行進工程表
『ビジョナリー・カンパニー4』にて記載されている考え方です。気候のいい時だけ50マイル歩くよりも、気候が悪いときでも20マイル(できる量)毎日歩くほうが目標に到達しやすいというエピソードの考え方をもとにし、出席者の目標の立て方や進捗をレビューしています。自分や部下の目標や計画づくりにおいて、「やれることをやる」を徹底する意識を持つ(自分を良く見せようとし、できもしない目標を立てることには意味がないため)ことを目的としています。
組織KPT共有会のメリット
組織の討議と研修を一度に行える
学習(研修の場)と実践(討議の場)で2倍の工数がかかるところを一緒にやれるのは、やりながら学んでいくスタイルが多いベンチャー企業には合っていると思います。座学(実際のものではない、模擬課題で学習)ではなく実践したものに対して手ほどきがあるため、よかったところや悪かったことが明らかになりやすく、次の改善へ結びつけやすいです。
一方で、討議と研修を一緒にすることで、どちらかの効果がマイナスになることがありえます。これは、出席するマネジメントメンバーのタイプに依ると思います。ノヴィータにおいても、討議と研修とどちらを求めているのか、運営から出席者に明示できず意義が混乱した時期もありました。最初の1年半ほどは学習要素を強めて(KPTやマジカを利用し、意図にあった分解ができるようになる、など)運営し、直近の1年間は課題討議要素を強めて運営しています。
また、会社の状況に合わせて運営をする以上、常に方針変更の可能性がありえますが、スタイルやルールの度重なる変更は、習慣やリズムをつくるという意味で参加者にはよくない影響が出ます。ルールを覚えてもらわないと、研修効果が下がるだけでなく、フォローアップ面で運営への負担も上がってしまいます。運営方針に伴うルール調整が入る場合は、参加者の負担を減らす意味も込めて、できるだけ今までとの違いでルールを理解できる程度に留め、変更量を増やしすぎないようにしています。
課題を分解する力(マネジメントの要素)を育てることができる
マネジメントをするにあたっては、現状を知り、課題を分解し、小さくトライすることが求められます。現状を把握しないと課題がわからないし、課題を分解しないと適したトライが出せません。トライも、壮大すぎるとと実際の行動につながりにくく、さらには持続性に欠けます。これらを適切に揃える力をつけるべく、今起こっていることを題材とし、実践的に行っていきます。
現在は討議面を優先しているため、課題分解不足による解決の遅れ(次回持ち越しなど)がなるべく出ないように運営側でできることとして、できるだけ出席者が課題分解しやすいように、フォーマットの項目立てを工夫することで粒度をできるだけ小さくしやすくするなどの工夫もしています。
組織課題を共有し、向き合うことができる
30人ほどの組織とはいえ、細部まで見渡すと課題はたくさん。人数が少ないので別部署の課題でも比較的目には入るものの、解決をするためには細部まで見ていかないといけません。この会を行うことで、それぞれのマネジメントメンバーが持ち寄った課題で会社の状況を深く共有することができます。共通言語が増えるという意味でも、非常に機能した取り組みでした。
また、フレームワーク利用による細分化の前に、参加者から「この課題について明らかにして欲しい」「この視点で明らかにして欲しい」「これを入れ込むともっと効果的では」などをリクエストするステップを入れています。このことにより、1回1回の振り返りと、その持ち寄りの場となる共有会の効果を上げていけているのではと感じています。
各人の取り組みやいいところが明らかになる
マネジメントに関わるメンバーに参加してもらうので、普段違う業務を行っているメンバーが一堂に会することになります。持っているスキルも視点も異なるため、討議する組織課題のチョイス、そして討議中の意見を通じて、出席者それぞれの視点やいいところが明らかになりました。
あわせて、職種の人数が少ない部署はどうしても業務が見えにくくなるのですが、この取り組みで、そういう人の業務内容が明らかになる効果がありました。特にマジカを活用した業務のフロー化は、誰かに引き継げるようにするという側面だけでなく、一部の人しか見えていない部分を見える化する取り組みとしても機能しました。
また、「明らかになった各人のよいところをそれぞれ持ち寄って、この会議で、組織全体の課題を出席者全員で解決をする」という思いを持てるよう、ファシリテートにも反映しています。部門それぞれに特徴や事情があるため、ともすれば対立を招きますが、出席者の個性を皆それぞれ理解できたことはお互いの協力・配慮姿勢につながったので、そういう意味でもよかったです。
組織KPT共有会における、現在の課題
組織の状況や、出席者の練度も変化していくため、状況に合わせた調整はしないといけず、この取り組みを常に単純なオペレーションにしていくというのは難しいなと感じています。すなわち、施策の都合上、一定の属人化がされてしまうということです。指導をお願いしているメンターの方のスキルセットがあるからこその運営スタイルでもあります。ただ、属人性があるとはいえ、まだまだ細分化・定型化できることもあるので、今後取り組んでいきたいです。
あとは、運営として、会に一貫性を持たせることにも苦心しています。KPTやプロセス設計を毎回のように取り組んでもらうと、改善案がどんどん出てきて積み上がります。でも時間は有限。そして事業活動があっての改善活動です。優先順位や効果の高さを見極めてファシリテーションしていくことも求められます。時によって、「分解スキル向上のため」「課題の分解」が一緒にはできない会において出てきた産物をちゃんと残しておき、次のアクションに使っていくことは求められます。
そもそもの話に戻りますが、せっかく1ヶ月に1度、1時間以上の時間をもらっているので、課題研修効果・課題解決効果をもっともっと高めていく運営を常に考えています。どうやったら課題の分解スキルが上がるのか、どうやったら出席者自身やその部下のパフォーマンス向上に寄与できるのか、会社の状況に照らし合わせ、細かな改善も毎回加えています。私自身も学びながら運営しているので、運営と学習の両方に集中できるよう、準備は入念にしています(運営面のしくじりがあると、そのリカバリに頭が行き、討議内容が耳に入ってこなくなってしまうため)。
「組織は完璧にならない」を知って、なお取り組む
組織運営に携わっている方にとっては当然のことかと思いますが、組織改善には終わりはありません。完全な状態に行き着くことはないはずです。ただ、終わりがないからと諦めず、完璧にならないことを承知で完璧に近づくことを目指し、このような場を運営し続けることに意味があると思います。
目先に大きな変化はないことが多く、気の長い活動です。しかも工数をかけているので目先だけで言えばマイナスです。課題をがんじがらめのままにしない仕組み、定期的な振り返りとともに討議をする仕組み、さらにはその討議を1箇所にまとめておき積み重ねられるようにしておく(忘れてもう1度同じ討議を繰り返すリスクを減らす)仕組みを設けておくことは、その目先のデメリットを超えてなお余りあると感じています。続ければ続けるほど仕組みが整い、機能し、会社が変化に対応するためのプラットフォームになっていくものと考えています。
ノヴィータでは、このようにチームの改善活動に根気強く取り組み、すぐ芽が出ないことをも楽しみながら、一緒に耕してくださる方と組織を作っていきたいと考えています。ぜひご賛同いただける方は、ご連絡をいただけると幸いです!
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