今回の事例は、コンピュータ理工学を専門とする会津大学で開催している「女性のためのITキャリアアップ塾」において、ノヴィータが講師を担当させていただいた事例になります。
福島県にある会津大学は、充実したコンピュータ教育･研究環境が特色の大学です。マルチメディア･コンピュータネットワークが構築され、基礎教育から応用教育にわたる広範囲かつ最先端の研究に必要な能力を育む環境が整っています。
会津大学の特性を活かし開催している「女性のためのITキャリアアップ塾」講座は、産学官連携のもと地域活性化をはかり、福島県在住の女性が一層活躍できるスキルと就労機会を得られる内容になっています。
地元で就労者を増やしていきたい、女性活躍を進めたいと考えている地方自治体の方は、ぜひご参考にされてみてください。
ノヴィータは福島でどんなことをやり続けているか
ノヴィータの地域共創事業
現在ノヴィータは、オンデマンド教材を用いたデジタルマ―ティング人材育成支援を行い、地域共創事業に取り組んでいます。
兵庫県豊岡市での事例をご紹介すると、地元で採用されたメンバーがOJT等で得たIT、デジタルマーケティングの知識とリモートワークの経験をカリキュラムに落とし込んだ「デジタルマーケティング講座」を提供しています。これは柔軟な働き方のひとつである「在宅勤務」などを実現させるためのデジタルマーケティングスキルを身につけるもので、単なるプログラミングやWebデザインを学ぶということではなく、ビジネス貢献を目指した内容なのが特徴です。
2021年に提供を開始した同講座は、「地元による地元のための」デジタル人材育成支援と女性の就労促進支援を目的に開催。翌年の2022年には、内閣府男女共同参画局の女性デジタル人材育成プランの優良事例として選出されるほど注目を集め、他の自治体からも多数お問い合わせをいただいております。
会津大学とのお付き合いのきっかけ
福島県内での仕事が増えたきっかけは、会津若松市出身のメンバーがいたからです。
「いつか地元に戻って働きたい」という長年の願いをノヴィータで叶え、現在は福島県からリモートワーク勤務をしながら活躍しています。
地元へ戻った2019年当時、「地元のためになる仕事はないか」と考え、母校である会津大学短期大学部にて「学生に向けたキャリアアップ講座」の講義をさせていただきました。
その頃会津大学では、2017年から2019年にかけてプログラミングスキルを学ぶ「女性プログラマ育成塾」を開催していました。
これは、男性の有職率に比べて女性の有職率が低いなどの状況から、福島県内で就業を目指したい女性に対して提供されているものです。何年か取り組みを継続されている中で、受講者や地元企業などのニーズを踏まえ、昨今ニーズが高まっているデジタル分野の求人にマッチした人材育成・女性のキャリア形成をサポートする講座についても模索されていらっしゃいました。
講座のご提案と、継続する中でのブラッシュアップ
「女性プログラマ育成塾」の関係者の方にお会いし、2019年に会津大学短期大学部にて行った「学生に向けたキャリアアップ講座」のことなどをお話したところ、人材育成・女性のキャリア形成をサポートする講座についてご提案をする機会をいただきました。
プログラミングだけでなくITスキル全般、例えばITスキルを持った事務系職種やWebデザイナーなどへの求職に繋がるようなカリキュラムを追加したいというご要望の元、ノヴィータが「WEBデザイン講座」プランをご提案させていただきました。
ITスキル取得を目指せる「デザイン講座」というご提案内容が、やりたいことに合致していたという理由で採用いただいています。
単純にデザイン講座というと、デザインの考え方とか、デザイン思考とはどういうことかといった理論みたいなところを教えることが多くなりがちですが、本題のデザインに着手しやすいよう、まずはデジタル初心者が触ったことのないSlackやZoomといったデジタルツールの使い方から教えるプランをご提案しました。
また、ITリテラシーやデザインスキルを学んだ先にある、企業への就職、自分で事業を立ち上げて起業家を目指せるような起業家観点の内容も講座に盛り込み、スキルを学んで得られる未来像もご提案させていただきました。
そして、2020年からは「女性のためのITキャリアアップ塾」へと名称を変更。実践的なIT人材育成へ向けてバージョンアップした講座が誕生しました。
プログラミングの基礎やソフトウェア開発まで学べる「プログラマ基礎コース」と、ITリテラシーを学びWebツールを使ったWebデザイン技術取得を目指す「IT基礎・WEBデザイン基礎コース」の2つのコースを設置。ICT・コンピュータ理工学の専門大学として、教育・人材育成のノウハウを持つ会津大学が、様々な企業とのネットワークを活かして女性IT人材の育成から就業支援まで行うカリキュラムです。
子育て世代、特に女性の場合は通学での学習は難しい傾向があり、在宅で空き時間を利用したいというニーズがありました。そこで、どちらもeラーニングによるオンライン学習を中心とした講座設計になっています。
ノヴィータは「IT基礎・WEBデザイン基礎コース」の講座で講師を4年間担当させていただいています。簡単にこれまでの開催内容と変遷をご紹介します。
2020年度
- 初心者でも安心して取り組めるように基礎知識から学習
- デザインだけではなく、デジタルツールの使い方を教える講座も合わせて実施（Slack・Zoom講座）
- 起業を目指せるような起業家観点も講座に盛り込む
2021年度
- 2020年度を踏襲しつつ、「テレワークで働くとはどういうことか」を考えるテレワーク講座を実施。
2022年度
- デザイン講座を基礎／応用に分け、より掘り下げて実施
- デザインを作って納品するまでを経験できる就労体験も展開、より実践的な講座へ発展
- 1週間の講義後、最大4案件を依頼して提出していただき、講評する
- 最終週に1on1を行う
- Slack・Zoom講座は開校前準備講座に
2023年度
- デザイン講座は引き続き基礎・応用の2つを行う
- Slack・Zoomの開校前準備講座に、テレワーク講座を吸収
- 就労体験も前年と同様に実施
このように、開催を重ねるごとに講座内容を進化させています。
やってきた過程でどのような良いことがあったか
「女性のためのITキャリアアップ塾」は、受講して終わりではなくスキルを活かし就労まで考えた「ジョブマッチング」を行っています。
具体的には、福島県内の企業などを呼び、オンライン個別面談を行うなど受講修了生に向けて実施しています。
ジョブマッチングでは、具体的な仕事内容や求めている人材について企業担当者へ直接質問することもできますし、受講中に学んだことや作成した制作物などを提出して実力をアピールできるなど、企業と受講修了生間での雇用のミスマッチを防ぎながら、就労につなげる場です。年々、マッチング率が向上していて、就業人数も増加傾向にあります。
受講修了生の中には、福島県内のIT企業に入社された方もいるなど、講座を通じて地元女性のIT人材育成と活躍の場の創出に寄与しています。
実はノヴィータでもジョブマッチングの場を経て「女性のためのITキャリアアップ塾」受講修了生の中から2名採用をしております。現在、福島県内に在住しリモートワークで活躍しています。
講師を担当させていただくのみならず、採用の場においてもこのようなご縁をいただき、大変ありがたく思っております。
会津大学側からの観点
「女性のためのITキャリアアップ塾」は、オンライン講座であるため、会津大学がある会津地域に限らず、福島県全域から参加されています。年齢層も30代40代がメインですが、20代から60代まで幅広く受講されています。
オンライン授業のメリットは好きな時間に自分のペースで学べる点です。子育て中の女性でも自分のすき間時間に自宅で学ぶことができます。オンライン講座がメインですが、任意ではありますが対面での講座開催もあり、受講生同士で交流できる点も魅力です。
福島県全域、幅広い年齢の女性に受講いただいていますが、「女性のためのITキャリアアップ塾」は、社会に出た後に再度教育を受け就労を行う「リカレント教育」という意味でも大きな貢献をしています。
受講生の新たなスタートに繋がる道筋作りに取り組まれ、長期にわたり「デジタル分野に特化し、女性を対象にしたリカレント教育」についても活動をされている会津大学。この「女性のためのITキャリアアップ塾」は、2020年度に公益社団法人日本工学教育協会から「工学教育賞」を受賞しているそうです。日本の工学教育、ならびに技術者教育等に対する先導的、革新的な試みとして評価されています。
ノヴィータ側からの振り返りとまとめ
会津大学のご担当者様からは、「IT基礎・WEBデザイン基礎コース」について感想をお聞きしたところ、「受講生から非常に好評であるため、今後も機会があればまたお願いできると幸いです」と嬉しいお言葉をいただきました。講座内容についての具体的なフィードバックもいただきましたので、本講座を担当させていただく限り、年度ごとにブラッシュアップに努めてまいります。
会津大学は「女性のためのITキャリアアップ塾」講座を通じて「福島県在住の女性が一層活躍できる学習及び就労機会の提供」と「福島県内におけるテレワーク導入の促進」といった意義ある取り組みを長い間されています。
この取り組みにノヴィータも講師として協力させていただくことは大変光栄です。また、今回のインタビューを通じて、本来ならなかなか振り返りのお時間をいただくことはないため、大変貴重な機会となりました。
今後も関係者の皆様のリアルな声や、取り組みに関するご担当者様のフィードバックを反映できるよう、節目節目で振り返りを設けさせていただければと思っています。
また今回の事例のように、女性のIT人材の活躍を支援したいなど地元活性化を目指す取り組みをされたい自治体の方は、ぜひノヴィータにお問い合わせください。
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