
豊岡市で業務改革を行うための会議「Xmeeting(エックスミーティング)」は発足から3年目を迎えました。(発足当時の記事)
「Xmeeting=豊岡市役所の文化」と言われるほど庁内に定着し、今では行革の象徴的な取り組みとして注目されています。
その背景には、運営側の“地道な改善”と“大切にしてきたマインド”がありました。
キーワードは「しんどいときも面白がれる」です。
前半の記事では、Xmeetingという取り組みの概要、これまでの歩みと成果についてお聞きしました。
本記事では、Xmeeting運営メンバーの工夫と、業務改革を進めるうえでの心構えを伺いました。今回は取り組みを支えた運営側にスポットを当ててお伝えしていきます。
お話をお伺いした方々
豊岡市DX推進部 DX・行財政改革推進課 課長補佐 山内 真弘さん
豊岡市DX推進部 DX・行財政改革推進課 係長 伊崎 実那さん
豊岡市DX推進部 DX・行財政改革推進課 主査 大谷 祥悟さん
Xmeetingについて
豊岡市の業務改革プロジェクト「Xmeeting」とは
豊岡市では「働きがいがあって、働きやすい市役所」を目指し、2022年度にDX・行財政改革推進課が誕生しました。「市役所の仕事のやり方を見直し、市民サービスの質を高めたい」そんな思いから生まれた新しい部署です。
このDX推進課が中心となって2023年に立ち上げたのが、庁内横断プロジェクト「Xmeeting」。
Xmeetingでは、業務改善や新しい取り組みに積極的に挑戦できる職員が、人事アセスメントを参考に、部署の垣根を越えて集まりました。1年目はDX適性(0→1を生み出す力)、2年目はデジタイズ適性(1→10に広げる力。ドライブ適性とも言う)の高い職員が選ばれ、課題の発見から実践までを自分たちの手で進めてきました。
プロジェクトメンバーの尽力、また市長をはじめとしたトップの強いコミットなどもあり、Xmeetingで生まれた2つのプロジェクトが庁議で正式に採択され、「豊岡市のスタンダード」として根付きつつあります。
Xmeeting立ち上げ時から2年間の成果をまとめた記事は前編にありますので、ご興味がある方は、ぜひそちらの記事もお読みください。
このようにXmeetingが成功といえるまでになった裏側には、「運営の在り方」がポイントになっていました。
後編は、Xmeetingを成功に導いた運営側の実践を深掘りし、業務改革に必要なアクションや心構えを伺いました。
運営として心がけたこと
「機嫌よく参加」いただくために変えてきたもの
インタビュアー
Xmeetingの立ち上げから2年間の成果と、その背景を伺いましたが、出来事を真似すれば再現できるものでもないとお聞きして感じました。運営側としてどのようなことを心がけてきたのでしょうか、詳しく教えてください。
伊崎
運営として一番大事にしたいと思い続けていたのは、とにかくXmeetingに参加するチームの皆さんに気持ちよく、機嫌よく参加してもらうことでした。でも、みなさんとても忙しい中参加くださるので、本当に難しい。
せめて・・・ということで、もし参加していて「しんどいな」と思うことがあれば、すぐに解決できるかどうかはわからなくても、とにかく話を聞くようにしていました。出てきた課題に対しては、「チャンスがきたらすぐ変える」。タイミングを逃さず、変えられるものはどんどん変えるようにしてきました。
山内
小さい変化の積み重ねですが、メンバーが「やってよかった」「納得できた」と思えるように、何ができるかを毎回考えて、少しずつ変えていく。それをずっと続けてきたと思います。
伊崎
そうですね。一回一回のミーティングのあとに運営メンバーで集まって「今日はこうだったね」「次はここを変えよう」と必ず振り返っていました。「会場の机の配置」みたいな本当に小さなことからどんどん改善していきましたね。
「一緒に汗をかく」「見守る」を使い分ける
伊崎
会議は月1回ですが、それ以外のインターバル期間はメンバー同士でオンライン上のSlackを活用したやりとりをしてくださっていました。
我々運営側が観察できたのは、全体ミーティングでの様子と日ごろの各チームのSlackです。見ていて、「このチーム、ちょっとしんどそうだな」と感じたら、運営メンバーが直接入って声をかけるようにしていました。
また、1年目・2年目の時から、メンバーの皆さんにアンケートやインタビューを実施していました。「どうすればもっと良くなるか」「どうしたら1年間のチーム活動がうまく回るか」を、メンバー自身に聞くようにしたんです。
アンケートで“今しんどい”と回答してくれた方にももちろん声をかけています。
インタビュアー
新しいことを始めるときメンバーの悩みや不満は、必ずといってもいいほど出てくるものです。課題を把握し、対応する過程で向き合うことが大変な場合もあったそうです。でも、Xmeetingの取り組みを続けるために粘り強く取り組み続けていらっしゃいました。
伊崎
「参加して嫌だったことは何ですか?」も、あえてストレートに聞きました。これはアドバイザーとして入ってもらっていた(ノヴィータ創業者の)小田垣さんに「聞いてみたら?」と言われたことがきっかけでした。正直、聞くのはつらい部分もありましたが。
でも、嫌だったことを聞いて、それを改善しない限りは取り組みが続かない。だから1〜2年目の活動を経て、ヒアリングやアンケートをもとに、変えられることは全部変えてきました。
3年目になって、運営面でようやく“良い型”が見えてきた状況です。
山内
例えば「世代間のギャップ」で会話がかみ合わないというケースがありました。例えば、同じチームに20代の方と、40~50代くらいの方が混ざると、お互いに遠慮し合ってしまうことがあるんです。どちらも悪気があるわけじゃなくて、「どう話していいかわからない」状態。
そういう時は、運営が間に入って“かき混ぜる”ようにしていました。要望をつないだり、運営から声をかけて入っていく。「見守る」だけでなく、一緒に汗をかくような関わり方をしていましたね。
インタビュアー
変革を目的とするなら「見守る」アクションも重要で、見守ることも意識して動かれていたと聞きました。しかも、状況に応じて運営が動くか見守るかを選択するのは難しいと思うのですが、心がけていらっしゃることはありますか。
山内
「Xmeetingは、事務局のものではなく、メンバーのもの」との視点から、運営では、毎回のミーティングやSlackの状況を見て、事務局が何かしら直接かかわるのか、それとも、苦しいかもしれないけどここはメンバーに任せるかなどを検討し、「見守る」を選択する場合も多くありました。
伊﨑
私なんかは、つい口も手も出してしまいたくなる気質で。私が一部を引き受けることで少しでもメンバーのみなさんのしんどさが軽くなればと思うこともありましたが、「どこからしゃしゃり出るか」「むしろ、それがチームにとって良いのか?」を考えるようになりました。みなさんを信じて待つべきという判断もしなければ、というか。

庁内副業制度の整備
「縦割りが強く、業務の人数が決まっている」市役所という組織の特性もあって、業務改善をしようとしても進みにくいという状況があったそうです。
「業務外」の参加しにくさ
伊崎
Xmeetingの活動は通常業務に“プラス”で行うもの。「時間が取れない」「時間を取ったら周りから何をやっているんだろうと思われる」という後ろめたさを感じるメンバーも多かったんです。
アンケートにも「Xmeetingに出にくかった」という声が結構ありました。直接的に不満を言われたわけではなかったのですが、どこかで「業務外のことをしている」という気持ちがあったのだと思います。当初は、その点を運営側で十分にキャッチアップできていませんでした。
山内
「Xmeetingというよくわからない場所に月2時間も行って何をしているの?」という目で見られることもあり、立ち上げ当初はそうした空気も確かにありました。
伊崎
月1回のミーティング以外にも、Slackでのやり取りやデータ整理など、多くの作業が発生します。それらが「勤務時間」として明確に位置づけられていなかったため、活動の扱いがあいまいな状態になっていたんです。
「自分たちが勝手にやっているだけ」と思われてしまう。そうした感覚はメンバーにとってしんどかったと思います。
大谷
1期生として関わっていた当時、課題の一つに感じていたことは、月1回のXmeetingの間の期間、いわば“インターバル”にも作業が発生したことです。通常業務に加えての活動なので、どうしても時間が取りづらい。
立ち上げ当初は、職場の周囲から「何をしているのだろう?」という視線を感じることもあり、“後ろめたさ”を抱くメンバーもいました。
仕組みを導入し、実情にあわせて小さく始める
インタビュアー
通常業務と並行して進める中で生まれる“しんどさ”を、どう乗り越えていかれたのでしょうか。組織としても、活動を支えるために何か工夫をされましたか。
伊崎
はい、そのしんどさを何とか解消する仕組みを整えないと活動が続かなくなると感じていたので、「庁内副業制度」として正式に制度化しようと決めました。
そして2025年4月に、庁内副業制度を整備しました。名称は「チョコファイブ(choco5%)」です。週に2時間だけ、自分の所属業務と異なる業務に関わることを認めるという仕組みです。
山内
実は、人事課でも検討されていたそうです。何年も前から議論はあったのですが、なかなか最初の一歩が踏み出せなかった。また、前DX推進課課長からも「そろそろ制度化の時期だ」と話していた背景がありました。
副業をどう定義し、どう始めるかという議論を経て、「まずは小さく始めてみよう」と合意できたのが大きかったと思います。伊崎さんの熱量が突破口を開きました。人事課との協議も10分くらいで終わりましたよ。
伊崎
具体的に「副業」と言っても、何をどう認めればいいのか、市役所としてどこまで許容できるのかが明確ではなかったんです。「小さく始める」が何を指すのかも曖昧でした。
でも、Xmeetingを通じて見えてきた課題から、「これが最初の一歩になる」と確信しました。タイミングもよく、提案してすぐ動き出しました。まず、Xmeetingの活動で試行的に活用できるようにし、人事課と連携してスピーディーに形にしていきました。結果、わずか2カ月で制度を整備できたんです。
上司からの「承認」を見える形に
インタビュアー
トップダウンではなく、現場の実情から制度が生まれた点が印象的です。まさに“実需”に合った導入ですね。しかも短期間で形にされていて素晴らしいです。
庁内副業制度をどういう風に導入できたのかは、ほかの自治体の方も知りたいポイントだと思います。
山内
先行して庁内副業制度を導入している自治体を視察させていただき、参考にしました。
一方、多くの自治体が副業時間を週20%で設定していますが、豊岡市ではまず「週5%=2時間」から始めることにしました。いきなり大きく動くよりも、現実的に運用できるサイズでスタートすることを優先したんです。
インタビュアー
「週2時間まで、公式に業務外の活動として認める」という仕組みを整え、Xmeetingに参加しやすくされた経緯がわかりました。この庁内副業制度、実はもうひとつポイントがあるそうですがどのようなものですか。
伊崎
この「チョコファイブ(choco5%)」ですが、さらに届出制にして、自分の課の中で決裁を取る形にしたんですね。
つまり、職員自身が起案を上げて、係長さんや課長さんに「この活動に参加します」と申請して、課長から“いいよ”というハンコをもらうようにしました。これによって、「行ってもいい」「やってもいい」という、上司からの承認をちゃんと見える形にしたかったんです。
その年度の活動を認めてくれることで、メンバー自身が安心して参加できる環境を整えました。
Xmeetingのチームの作り方
Xmeetingのチーム作りは年々変化を遂げてきました。人事アセスメントの情報を参考に選ばれたメンバーで取り組みを進めましたが、取り組みを進めるうちにチーム作りのあり方も変わっていきました。
アセスメントを参考にし、行き着いたチーム作り
山内
1年目はアセスメントの結果を活用して、DX適性が高い人を中心にメンバーを選びました。DX適性とは「0から1を生み出す力」を指します。
2年目は、デジタイズ適性、つまり「1を10に広げる力」を持つ人たちを中心にチームを構成しました。
そして3年目の今回は、挙手制にしています。1〜2期を通して、運営メンバーが参加者へのアンケート・インタビューを重ねる中で、「チームがうまく回るには何が必要か」という問いに向き合いました。そこで見えてきたのが、「まず大切なのは“やる気”」ということです。
2年間の活動でXmeetingの存在が庁内に認知され、「庁内でこんな取り組みをしているんだ」と理解してもらえるようになった結果、「自分も参加してみたい」と思う人が出てきた。また、1期生2期生の活躍と実績があり、Xmeetingという取り組みへの期待も高まった。両方があったからこそ、今回は「やる気のある人に手を挙げて参加してもらう」挙手制に踏み切ることができました。
大谷
1~2期目にメンバーとして関わった私から見ると、1年目は、やっぱりみんなバラバラで。似た問題意識を持っている人でチームを組みましたが、細かい方向性はすり合わせきれなかった点もありました。しかしDX適性の高いメンバーは成果志向で「何か形にしたい」という気持ちが強かった。最終的に形になったのは「市長や副市長への発表がある」というプレッシャーもあったかもしれません(笑)。
伊崎
2年目は、既に1年目のテーマに対する成果を市役所全体に浸透させようと始まりましたが、デジタイズ適性の高い職員自身が、自身の課題感として持っていただくまでに時間がかかりました。そんな状況も、1期生に助けてもらいました。1チームにつき1期生2人、2期生5〜6人の混成チームにしました。経験を引き継ぎながら新しい風も取り込む構成にしたんです。
大谷
2年目は1期生として関わりましたが、マネージャー的な立場で関わるようにしました。2年目からのメンバーは1年目以上に“やらされ感”が強かったと思います。自分の業務時間を削ってやっていたので、負担に感じる人も多かったはずです。そんな中、どう支えるか、どう背中を押すか――そこが意識していた部分です。マネージャー的な動きを学びたい思いもありました。
でも一方で、「自分の手元の業務をよくする」「エクセルでもいいから小さな業務改善をやる」というマインドを、全職員が持てるようにしたいというのは、もともとのコンセプトの一つでした。全職員の働き方を変えられたら、回り回って自分自身の仕事も楽になる、このゴールが見えたメンバーは主体的に取り組んでくれたのだと思っています。
Xmeetingの立て付けで集まっているメンバー間で同じ熱量を持っている人とのつながりや認知ができたと思います。Xmeetingから離れた人も関わりが続き、仕事をサポートしてくれることもありました。
希望する人が安心して参加できるよう、丁寧に説明
伊崎
3年目の挙手制にするにあたっては、単に「参加者を募集します」と告知するだけでは終わらせませんでした。
応募してくれた職員が安心して参加できるように、私たちDX課の職員が全所属長のもとへ一件ずつ説明に伺いました。「どんな活動があるのか」「1年間のスケジュールはどう進むのか」「どんな負担が想定されるのか」──そうした点を、上司である所属長にしっかり共有し、了解いただくことが大事だと思っていました。正直、全ての課を回るのは大変でしたが、そこを丁寧に行うことで、職員の心理的安全性に配慮した環境を整えることができたと思います。
また、今回の届出書には上司がコメントを書けるスペースをつくりました。そこに「行っておいで」「手を挙げてくれて嬉しい」「応援しているよ」といった前向きなメッセージがたくさん並んでいて、私自身、とても感動しました。
活動そのものが“職場全体で認められている”という空気が、少しずつ広がっていくのを感じましたね。Xmeetingが単なる一部の有志の取り組みではなく、市役所全体で応援される存在になっていく基盤を整えられたのは、3年目となった2025年の大きな一歩だったと思います。

仕事をおもしろがるマインド
場を使って、「やりたかった改善」をやる
大谷
Xmeetingで上がってくるテーマの多くは、「人事」や「総務」といった、組織運営や働き方に関する課題です。マインドセットやコミュニケーションをテーマに募集したわけではありませんが、結果的に多くのメンバーがそこに課題を感じていることが分かりました。
私自身「Xmeetingの場を使って、やりたいことをやっていいんだ」と思えた瞬間から、主体的に動けるようになりました。Xmeetingを通じて“全職員の働き方を変えるきっかけになる”と気づいた人もいましたし、全職員の働き方を変えたらまわりまわって自分の仕事も楽になるといったゴールが見えた人もいると思います。
実際、Xmeetingに参加して、「あ、自分と同じように頑張っている人が他にもいるんだ」と感じられたのは大きかったです。孤独に改善に取り組んでいた人たちが仲間と出会い、“同じ熱量のつながり”を感じられた。これは本当に心強かったですね。
インタビュアー
なるほど、業務改善の思いを持つ人が「つながっていく場」というのはおもしろいですね。
大谷
そして、「自分の仕事を少し良くする」だけじゃなくて、「全職員の働き方を変えるきっかけをつくれる」と思えたとき、主体的に取り組める人が増えていったんです。その手応えは確かにありました。
今も、Xmeetingを離れたメンバーが何かしらの形で関わり続けてくれているのは、そうした経験がつながっているからだと思っています。
自分が関わることだから、自分で面白く
伊崎
Xmeetingも3年目を迎え、ようやく“活動の型”が見えてきました。
1年目、2年目と試行錯誤を重ねる中で、1年間の流れやマイルストーンを整理できたことで、運営側もメンバーも「次に何をすればよいか」を意識しながら動けるようになってきたと思います。
いまは、これまでの経験をもとに、Xmeetingという取り組みのノウハウや、メンバーに持っていてほしいマインドを整理できる段階に来ています。その中でも、今年度特に伝え続けているのが「しんどいときも面白がれるマインド」です。
インタビュアー
「面白がれる」というのはどのようなマインドでしょうか。
伊崎
どうしてもXmeetingは本来業務とは別に取り組む活動なので、負担に感じる瞬間もあると思います。
でも、そんなときこそ「今自分が関わっていることを、自分で面白くしていく」。その姿勢を大切にしてほしいと思っています。ネガティブではなく、ポジティブに。“仕事を自分で面白くしていく感覚”を持てる人が増えたら、組織全体の雰囲気もきっと変わっていく――そんな実感があります。
山内
僕はいつも“もっとふざけていい”って言ってるんです。真面目に考えるのも大事だけど、肩の力を抜いて、遊び心を持っていい場にしたい。
インタビュアー
業務改善は「よりよく変えなければ」「やらなければ」という気持ちになりやすいからこそ、遊び心のようなものは大切かもしれませんね。
大谷
“面白く働く”っていうのは、自分の感じ方ひとつで決まると思うんです。どんな仕事も、最初から面白いわけじゃない。仕事そのものには、色なんてついていないんですよね。やらなければいけないことでしかない。
でも、そこに“色”をつけていけるのは自分自身なんです。たとえば、「ここが面白いかも」とか「自分なりに工夫してみよう」と感じられる瞬間を、自分で見つけていく。その積み重ねが“面白く働く”ことにつながるのではないかなと思っています。
それは就職活動の自己分析にも似ていて、「自分はどんな仕事に価値を感じるのか」何をしていると楽しいのか」を自分で考えることが大事なのだと思います。
もちろん、“面白がれ”だけでは難しい場面もあります。だから、「どうすれば面白く感じられるか」というロジック――つまり仕組みやきっかけを作ることも大切で、そんな仕組みをXmeetingでも考えていけたらいいなと思っています。
アンケートは、面白くするための対話ツール
インタビュアー
組織として改善の活動を続けていくうえで、メンバーのモチベーションをどう保つかは大きなテーマだと取材していて感じています。
その点で、運営として意識していることや、メンバーとの関わり方で工夫していることはありますか。
伊崎
これまでもアンケートを行ってきましたが、今年度はより頻度を上げ、定期的に実施しています。「メンバーの皆さんがどこに面白がっているのか」を知るのがXmeetingの運営では大事ですが、結局は聞かないとわからないので。
スタート前の事前アンケート、活動を始めて1か月後のアンケートなどをすでに行っており、“今どんなことが楽しいか” “どんなことがしんどいか”を尋ねています。その回答をもとに、全体・チーム・個人という3層に分けて課題を整理し、それぞれにアプローチするようにしています。
新しいメンバーも多く、日常的な会話だけでは拾いきれない部分もあります。回答の中から見えてくるのは、職員一人ひとりの小さな変化。どこまでできたかを一緒に確認することで、その人の成長を定点的に見守ることができます。アンケートは単なる調査ではなく運営とメンバー間との良いコミュニケーションツールであり、応援するための “対話のきっかけ”でもあるんです。
行政改革を志す方々にメッセージ
最後に、これからXmeetingのような取り組みを始めたいと考えている自治体の方々に向けて、アドバイスやご自身の経験から感じたことを教えていただきました。
Xmeetingの運営を面白がる
山内
いつも運営で意識しているのは、「どんな人に仲間になってほしいか」という点です。
「機嫌よく、たのしく」という気持ちを大切にしながら、どうすれば庁内に改革の空気を浸透させられるかをずっと考えてきました。そのために必要なのは、レジリエンス(しなやかさ)だと思います。
1年間を通じて、メンバーそれぞれの成長が見えるのですが、その成長を本気で喜べるかどうか。仲間の変化を自分のことのように喜べる、メンバーになってくれた人に感謝や敬意を持って関われる人――そういう人が、やっぱり運営に向いていると思います。
伊崎
また、Xmeetingを運営する際に、若い世代と課長補佐級くらいの人がペアになるといいかもしれません。取り組み内でハレーション(衝突や摩擦)が起きたときにもお互いの立場や視点で支え合えますし、通さなければいけない話を役割分担して通しやすくなると考えているからです。
そして何より、「運営そのものを面白がれるかどうか」。
もしこの記事を読んで、「おもしろい」「やってみたい」と感じる自治体職員の方がいたら、私たちが3年間で得たノウハウはすべてお伝えしたいと思っています。
「ラブ」の気持ち、“思いで動かす活動”
伊崎
運営を担う人は、「本気で苦しめて」「本気で悩めて」「本気でメンバーを尊敬できる」――「そして、あきらめない」そんなマインドを持っていないと、最初の立ち上げの時期は本当にしんどいと思います。
大谷さんも「運営側とメンバーとで少し視点が違う」と話していました。確かに、周りからは「仕事だからやってる」と見られることもあるかもしれません。でも実際には、仕事というより“思いで動かす活動”なんですよね。
山内
結局のところ、行き着くのは「ラブ」なんです(笑)。
どうしたらみんなが機嫌よく、たのしく活動できるのか。
経営層からの期待やプレッシャー、そしてメンバーからの「なぜやるのか」という問い――その両方に耐えられる覚悟が必要です。
伊崎
しぶとさも、ずぶとさも大事ですね(笑)。
私たちが最初に経験した、つらいことや悩んだことは、すべてノウハウとして残っています。だからこそ、「本気でやってみたい」と思う自治体の方には、その記録を惜しみなくシェアしたい。
大変だった部分をあらかじめ知っておくだけでも、心の準備ができるし、きっと役に立つはずです。

(中央)豊岡市DX推進部 DX・行財政改革推進課 主査 大谷 祥悟さん
(右)豊岡市DX推進部 DX・行財政改革推進課 課長補佐 山内 真弘さん
まとめ:取材後記
ノヴィータ広報 兼 NOVILOG編集長 中根の視点で、取材の学びをまとめました。
取材前は、「取り組みが成功している」表面部分を中心に聞いていたため、もっと仕組み部分にフォーカスした取材になると考えていました。
けれども実際は、成果を出して今に至るまでに多くの苦労があり、お話をお聞きした3名の皆様が惜しみない努力を尽くされていて、それがあったからこその今であるということの想像ができていませんでした。
Xmeetingはただこのフォーマットを真似すればいいのではなく、後編でお聞きしたようなマインドで運営されていたから成功していた、というのが間違いありません。
また、民間企業でも変わらない部分も多数あり、仕事の考え方などについても多数ヒントとなる情報がありました。
仕組みとマインドの両輪で取り組む
Xmeetingの取材を通して強く感じたのは、「仕組みとマインドの両輪があってこそ、組織の改革は前に進む」ということです。
運営側が小さな改善を積み重ね、メンバー一人ひとりの声に耳を傾けながら環境を整えてきた姿勢が印象的でした。アンケートやSlackでのやり取り、会議後の振り返りは、メンバーの主体性を引き出す欠かせないプロセスですが、取り組みきれていない場合も多いのではないでしょうか。「参加者が嫌だったことを聞いて、それを改善しない限りは取り組みが続かない」という考え方が、とても心に残りました。
ヒアリングを徹底し、新しいことは課題ベースで始める
庁内副業制度「チョコファイブ(choco5%)」のように、困りごとを制度として形にする実行力も素晴らしいと感じました。先行事例を参考にしつつも、現場の課題や声を起点に、実態に即した「小さく始める」利用シーンをきちんと定義することで、「作ったが使われない」ことを防止していました。かつ、組織でちゃんと使えるものを整備することで、安心感と意欲が高まるはずです。
相手への思いを持ちつつ、自身の「面白がる」熱量を大事にする
さらに、運営メンバーが共通して大切にしていたのは、「しんどいときも面白がるマインド」。仕事の面白さを自ら見つける姿勢が、チームの熱量や組織文化の変化につながっています。
Xmeetingに挙手してくれた方の上司に説明して回ったことや、届出制の仕組みで「上司からの承認をちゃんと見える形に」したことも、関係者それぞれへの思いから来るものだと感じました。
このように所作や仕組みへ積み重ねていき、「組織を良くしていく」ことを目的とし、それに向かう過程や発生する仕事、困難をも面白がる、という考え方も大変学びになりました。
改革は一人で進めるものではなく、制度だけで劇的に変わるものでもありません。
今回伺ったXmeetingの様々な要素を振り返ると、関わる人たちのマインドと、徹底的なコミュニケーションこそが改革の本質であることを示していただいた気がします。
民間企業でも同じマインドで仕事に取り組むべきではないかと、気づきをいただきました。
ノヴィータでは今後も、民間企業、自治体を問わず、課題解決や業務改革で素晴らしい取り組みをされている事例の取材と発信を続けていきます。
2年前(2023年)に行ったXmeetingの取材でも、自治体の課題解決にあたって重要なポイントを伺っていますので、あわせてご覧ください。
自治体の課題解決において大事な3つのこと ~兵庫県豊岡市におけるDX人材育成の取り組み~ Vol.2
https://blog.novitanet.com/entry/2023/11/01/080000
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