自信をもって見積りを作れていますか?
「見積りってけっこう頭を使う。たくさん作らなきゃいけないと思うと正直しんどい…」
一度はこんな気持ちになったことありませんか?
そもそも見積りとは、価格、工数などをおおよそ割り出し算出すること。
「概算見積りだけ、誰かにお願いしよう!と思っても人によって見積り金額が変わってしまうんだよな…。」
「適当な金額で作られると不安だし、安いと赤字になるし、高いと受注できないし…。」
「細かくチェックしていたら、一から自分で作るのと変わらないよ…。」
「妥当な金額を算出するには経験が必要だから、やっぱり人に任せるなんてできなーい!!」
こんなことを言っていたら、永遠に自分で作らなければいけなくなる。
では、「どうやったら社員みんなが同じクオリティの見積りを作れるのか」。
ノヴィータでクリエイティブ部門の部長をやっている私が、管理者の立場から見積りの仕方を伝えたいと思います。見積りを作る一歩目として、まずは、概算見積書りからやってみましょう。ノヴィータ流ですが、案外、筋の通った方法だと思います。
新入社員や新人の方でも理解してもらえるように説明しますので、最適な概算見積りを作るコツを知りたい方も、良かったら参考にしてください。
そもそもなぜ、高クオリティの見積りを作らなければならないのか?
見積書を出さないと仕事を受注することはできません。見込み客にアポイントやヒアリングといった時間と労力をかけても、受注できなければ売り上げはゼロです。
ノヴィータでも、以前は、価格表がなかった、妥当な金額の算出方法が分からなかったという理由で、見積りを作成する人によって金額が変わることがありました(本来、価格表はあってもなくても、妥当な金額の算出方法さえわかっていれば、ほぼ同じ金額の算出ができるはずなんです)。
見積りが人によって変わる。これは本来、会社としてあり得ないこと。
だって、仕事を依頼したい人は、個人ではなく、ノヴィータという会社に発注したいと考えているのだから、個人でバラつきが出てしまうのはおかしいですよね。
見積り金額だけでなく、納品する品質についても同様で、誰が納品しても同じ品質を届けるのが「ノヴィータブランドとしての価値を提供する」ということ。
会社の信用問題にも関わることなので、前職でどんなに経験を積んだ転職者であろうと、会社に入社したての新入社員であろうと、社員のだれもが会社の価値を把握し提供できるレベルにすること、これを肝に銘じておきましょう。
ノヴィータでは、新人にはまず、プロジェクト全体のお金の流れ(見積りから納品、売り上げ確定まで)を理解してもらいます。
そして、見積書を作成する意味、ノヴィータの見積り定義、ノヴィータの見積り作成方法と見積り金額の根拠、見積りは納品までに変わる場合があること、なども踏まえて伝えています。
ノヴィータ流!概算見積り試算表の作り方
今は、ノヴィータ社員の誰もが、概算見積りを作れるようになりました。
どうしてできるようになったのか? それは、ノヴィータ独自の「概算見積り試算表」を使っているからです。もちろん、案件ごとによって柔軟な対応は求められますが、基本的にこの表を見て概算見積りを作っています。
見積書にはフェーズがある
では、概算見積りとは、どういうときに提示するのでしょうか? 一口に見積書といっても、クライアントに提出する際には段階があって、概算見積り、詳細見積り、最終見積りがあります。
概算見積りは、クライアントや見込み客に予算感を伝えるために作成します。
詳細見積りは、各プロジェクトの固有情報を踏まえて計算された詳細な予想原価(見積原価)をもとに算出されたもので、見積原価はヒアリングした内容と概算見積りをもとに作成します。
見直しは、稼働原価が見積原価を超過することが予見された場合に作成します。具体的には、作業着手前に仕様が変更された場合、作業完了後や承認後に仕様が変更された場合、詳細見積り時の工程と実作業の工程に乖離が発生する場合などがあたります。
最終見積りは、納品時の最終的な見積もりのことです。
請負案件においては、クライアントに停止する際、基本的に作業単価で見積り提出することを推奨します。作業内容が明解のため、クライアントに理解されやすいと思います。
概算見積り試算表とは?
それでは、ノヴィータで使用している「概算見積り試算表」の作り方を説明します。「会社ごとの価格表の作り方」だと思ってもらえればイメージしやすいですね。
見積書を作るときに参考にする数値として、どこの会社にも標準原価がわかる参考価格表が存在していると思います。
ただの価格表と、概算見積り試算表が異なる点は、以下のような細かい項目まで記載されていることです。
- 各サービスの工程
→ これを見れば、だいたいどんなことをやっているか?がイメージできる - 工程にかかる時間
→ 各工程にどれだけ時間をかけていいか?が分かる - 工程を担当する人材単価
→ 各工程を実施するのに必要な人材グレード(スキルレベル)が分かる
作業単価をしっかり算出したうえで見積金額を出せるので、ノヴィータとしての妥当な金額で概算見積り書を作成できます。
作業単価の算出方法
作業単価の算出方法は、まず、今いくらかかっているのか作業実費を出します。
作業実費の算出手順としては、部下に、作業内容とかかった時間をスプレッドシートに日々ロギングしてもらい、作業内容ごとの所要時間を「見える化」しました。
次に、ロギングされた、【2.工程にかかる時間】と、【3.工程を担当する人材単価】を掛け算して、作業実費がいくらかかっているかを明らかにしました。また、【1.各サービスごとの工程】も暗黙の了解にせず、明文化して管理しています。
作業単価を出した後
見積りを作る前提条件として、自社にもクライアントにも利益の出る金額になっていなければなりません。
作業実費と見積り金額を比較、また他社の見積りとの比較を行い、ノヴィータとして妥当な金額を算出しています。
各工程とかかる時間などをすべてスプレッドシートにまとめて「概算見積り試算表」が完成! ページ数(ボリューム)を入力するだけで、誰もが概算見積りを作れるようにしました。
概算見積り試算表を作って良かったこと
だれでも概算見積りを作れるようになっただけでなく、概算見積り試算表があることで、良かったことがあります。例えば、
- 参考価格が明示されて議論がしやすくなった
- 安すぎる、高すぎるということがなくなった
- 部下の見積書を細かくチェックしなくて良くなった
- そこまで経験がなくても、だれでもほぼ同じ金額を出せるようになった
- 工程を細かく表記しているので、業務内容をよく知らない人の理解に役立つようになった
ほかにも、試算表の数値の根拠を集めるために、部下に日々の作業をロギングしてもらったことで、次のようなメリットがありました。
- 日々行っている業務の報告、把握が簡単になった
- 各メンバーの稼働管理として、自身の振り返りに利用できるようになった
- 業務プロセスを言語化することで、最適化について社員同士で議論できるようになった
会議のときは、根拠を用いた議論ができるので、非常にスムーズにおこなえています。
仕事の依頼を受けるための単価を個人が把握できるため、仕事に対するモチベーションが上がります。また、作業工程を細かく設定しているため、プロジェクト完了まで、どんな工程を踏むのか想定でき、新人が理解するためにも役立っています。
もちろん、概算見積り試算表は完成版としてずっと維持するものではなく、都度、見返して、みんなで議論や改変していくことが重要です。
常に、最適化を目指す議論をすることで、社内のメンバーたちが会社や仕事への利益に対する意識を育んでいってほしいと期待しています。
管理者側が日々やっておくといいこと
各自の週次報告や稼働管理表でつけている記録は、個人やチームの成長にも、とても役立ちます。
現在、ノヴィータでは、全社員リモートワークをおこなっていますが、毎日終礼をZoomで行い、メンバーの稼働状況や案件進捗の確認、課題に感じていること、共有すべきことなどをヒアリングしています。
報告書や口頭で報告してもらう目的は、2つあります。
1つ目は、管理者が把握すべき内容の確認です。週次報告シートを見て問題点をすぐに洗い出すことができ、誰かに稼働が偏っていないか、逆に割り振れる人はいないかなどもチェックしています。
2つ目はチームと個人が把握すべき内容の確認です。自分自身で振り返ることで、自分の成長や課題に気付けるようになってほしいという期待値をもっています。
今回は、ノヴィータ流の見積りの仕方についてお伝えしました。
自分と自社の価値を正しく把握し、作業単価の算出方法を理解しているからこそ、お客様と取引していけます。苦手と感じる人が多い見積り見積書の作成過程は、仕事の本質を理解するうえでも重要な概念だと思います。この記事が誰かのお役に立てれば幸いです。
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