NOVILOG

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リモートワークと75%の心地よい関係(No.2  伊藤紗代子さん)

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無礼講もアリ、闇練タイプの完璧主義者

『幽☆遊☆白書』のオープニングテーマ、『微笑みの爆弾』を歌わせたら、右に出るものはいない。椎名林檎の曲も、そう。

「一緒にカラオケに行って、ここまで音がずれない人に会ったことがない。すべての音が正しい。めちゃくちゃ上手。完コピが完璧。あの能力は本当にすごい! 僕はTTP(=徹底的にパクる)の天才と呼んでいます(笑)」と会長・小田垣さんが舌を巻くほどの歌唱力の持ち主。

 

現在、鹿児島でリモートワーカーとして働く伊藤さんと初めて対面したのは、残念ながらパソコンの画面越しだった(いつか、その歌声を生で聞いてみたい)。通常私は、直接会って〝対面〟でのインタビューを基本としている。表情や目線、しぐさや会話のちょっとした〝間〟など、見えないもの、お互いの間に漂う繊細な空気感を大切にしたいから。けれど、今回ばかりは仕方ない。鹿児島にいる伊藤さんと、パソコンの画面越しにインタビューを開始した。

 

伊藤さんの第一印象は、ひとことで言えば〝きちんとした人〟。ノヴィータで歩んできたこれまでの道、現在の仕事内容についてなど、私が質問するたびに、ひとつひとつ言葉を選びながら真摯に答える姿は、〝正しい〟という言葉がぴったりな気がした。

 

インタビュー中、何度も伊藤さんが口にしたワードがある。それは「怒られたくないんです」という言葉。……共感。私も怒られるのは大の苦手。完璧主義だからかな、自分の中で、最低でも75%ラインを超えないと、原稿を人前に出せない。いいかっこしいなのかもしれないし、人一倍臆病なのかもしれない。

 

「伊藤は、完全にパクるまでは絶対に歌を披露しない、闇練タイプです。どっからどうみても完璧になったとき、初めて披露してくれる。そしてその後は徹底的に、十八番しか歌わない(笑)。仕事においてもそうかもなぁ」とは小田垣さん談。

 

ところが、そんな伊藤さん、お酒を飲むと人が変わるらしい。「無礼講」という言葉が好きらしい。お酒の勢いを借りて、ライバルだったかつての同期に「あんたなんてキライ」とか言っちゃうらしい。おお、ものすごく人間的じゃないか! 

 

そんな伊藤さんとみっちり話すこと1時間。丁寧に言葉を紡ぎ、慎重に回答する。闇練派、完璧主義者、怒られたくない。……これらのワードが私の中でしっかりリンクしたとき、予定時間が過ぎていたことに気づいた。近づいたような、まったく近づけなかったような。この人はきっと、時間をかけてじっくりと関係を育み、こっそり自分の中で闇練を繰り返しながら、自分自身にOKが出せたときに初めて、素顔をのぞかせる人なのかもしれない。そう思った。

 

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〝あきらめ〟たら、リモートワークのコツが掴めた

さて、伊藤さんは今や、社内外問わず「リモートワーク」の成功者として注目を集めている。しかも、WEBデザイナーとして。

 

リモートワークがうまくいくポイントは一体なんだろう? 直球で聞いてみた。

 

「一番は、いい意味で〝あきらめる〟ことを覚えたことだと思います。リモートワーカーになる前までは、なんでもすべて自分でできると思っていたし、そのほうが早いと思っていました。でも、リモートワークではそうはいきません。物理的に距離があるぶん、意思疎通をこれまで以上にしっかりとらないといけません。その上で、いかにうまく仕事を他人に振れるか。振るほうも振られるほうも、互いに気持ちよく、効率よく、質の高い仕事をするにはどうしたらいいかを、徹底的に考えました」

 

伊藤さんがデール・カーネギーの名著『人を動かす』を熟読したのも、このころ。ただし、その前にもこの本を手にとっている。過去、初めてリーダーに任命された際、部下統括がうまくいかず悩んだとき。この本を読みこみ、まず相手の話をじっくり聞くということを徹底した。恥を忍んで、わからないことは教えてほしいと伝えた。相手の気持ちに立ってものごとを考えた。同時に、自分と相手は同じじゃないと知った。

 

「試行錯誤しながら、人と情報を共有することの難しさ、〝正確に〟情報を共有することの大切さを学びました。ひとりで仕事を抱え、ギリギリになってあたふたするくらいなら、はやめにふる。そのためには、それまでのプロセス、情報の整理整頓、誰に何をふるのかを明確に見極めなきゃいけません。たどり着いたのは、頼る、任せること。そして、教えてあげるんじゃない、一緒に考えること。簡単なようでいて、これが一番難しいですよね」

 

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安心してもらうための、〝75点〟の再現性

少しずつチームリーダーとしての思考を形成しながら、伊藤さんが行動として徹底したことは、「約束を守る」ということだった。

「たとえば天才なら、約束や締め切りをやぶったとしても、200点のアイディアがあれば周囲は納得します。でも、みんながみんな、天才じゃないですよね。いや、天才はほとんどいません(笑)。だったら、75点でいいから、きちんと期限を守って、まず信頼を得ることです。チームも、クライアントもそう。安心して任せられる、という安心、安定感。天才じゃないなら、これを徹底すべきだと思いました」

 

うう、耳が痛い。でも本当にその通り。安定して期日とクオリティを担保する。それがビジネスでは基本だ。

 

大切なのは、再現性です。75点でいいんです。もし私が、あるいはチームの誰かに何かが起こっても、ちゃんとカバーできること。スピーディな対応が必要なウェブ業界においては、やっぱりひとりでできることには限界があります。そしてこの視点こそ、リモートワーカーにとって最も大切な点です。何かが起こったときにすぐに駆け付けられない制約がある中で、安定的に75点をキープするために必要なのは再現性です。そのためには、小さいことかもしれませんが、まずは約束を守ること。そして、情報をオープンにして共有する。だれもが再現できるよう、わかりやすく整理整頓する。その積み重ねだと思います」

 

トライ&エラーを繰り返しながら伊藤さんがたどり着いたこの結論は、リモートワーカーでなくても、働く人ならだれもが肝に銘じておきたい要素がてんこ盛りじゃなかろうか。

 

「おまけに、結婚しても仕事は続けたいし、家族との時間、自分の時間も大切にしたいという欲張りな私の希望、働き方をノヴィータは認めてくれました。この会社だから、こういう形でリモートワーカーをやれているんだと思います」

 

 

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リモートワークで得られた、自分を大切にする働き方

最後に、伊藤さんが語ったリモートワークのメリット・デメリットを紹介したい。

「メリットは、察する力が養われること、効率的に動くことを意識するようになったこと、よりスピードを意識するようになったこと。そして、生活リズムが安定し、時間を有効活用できることによって心のゆとりが生まれたこと。ライフスタイルの変化に対応しやすいですよね。一方、デメリットは、とはいえやはり、気軽に声をかけづらいなど、コミュニケーションに不安を感じること。それから、ONとOFFの切り替えが難しいこと、回線にヤキモキすること(笑)」

 

時間と距離。制限のある環境の中で、ひとりじゃなくチームで、どうしたら自分の価値を高められるのか。自分の人生を楽しめるのか。仕事もプライベートもすべて理想通り、なんてことは難しい。ときにはあきらめや妥協も必要だ。リモートワークはもちろん、新しい働き方が注目される今の世の中において、柔軟な働き方や生き方のヒントが隠されている気がした。